【短編集】ピーチネクター (ページ28)

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もう聞けないと思っていた。

その、気だるそうな声で名前を呼ばれるだけで

また引っ込んでいた涙が溢れそうになる。

「ずっと好きだった」

「ずっと卒業を待ってた」

「こんな恋心、漫画だけだと思ってた」

『棚澤先生、』

「先生って、呼ばないで」

苦しくなっちゃうから、と涙目になる先生。

先生の弱いところに触れた気がした。

卒業式でも、最後のHRでも泣かなかったのに、

あんなに笑顔で送り出してくれたのに、

私のことは笑顔で送り出してくれないなんて

ずるいよ、先生。

『実は、』

心拍数が一気に上がって、呼吸すら苦しい。

でも、私も言わなきゃ。

私もあなたに伝えたいことがあるの。

『私もずっと好きでした』

『本当はこの恋を終わらせる予定で』

『今日告白して、玉砕して、諦めようって』

『でも、』

“ そんなこと言われたら諦められないじゃん ”

その言葉は優しい口づけで遮られた。

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【店員所感】

卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます！