【短編集】ピーチネクター (ページ27)

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春一番ページ27

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(高校生＆苗字は中野固定です)

今日は高校の卒業式。

みんなとこうして会えるのも最後、

大好きなあの人と会えるのも最後。

私の恋心も今日で終わりにしなきゃ。

所詮いち生徒、そこから進展なんてしない。

そんな事を考えているうちにも卒業式は進んでいく。

「代表、中野A 」

『はい』

こうして名前を呼ばれるのも最後かと思うと

目頭が熱くなって、視線の先の卒業証書が歪んだ。

「あのさ、話したいことあるから」

卒業式のあと、担任の棚澤先生に呼ばれて

先生の住処と化した地学室にお邪魔することになった。

どうぞ、と紅茶を出されたけど

緊張しすぎて喉を通らなさそう。

「 ...今まで会長とか、ありがとう」

『ふふ、なんですか突然』

「だって俺頼りなかったじゃん」

担任の棚澤先生は先生になって3年目、

こんなに若い人が受験生の担任なんて滅多にない事だ。

いかに棚澤先生が優秀でしっかり者かがわかる。

『棚澤先生は頼れる人です』

『何度も私を助けてくれた』

棚澤先生が「中野さんが居てくれてよかった」

そう言ってくれるだけでなんでも頑張れた。

『あ、話したいことってそれ？』

「これもあるけど... 」

『けど？笑』

言葉を濁した棚澤先生はひと呼吸おいてから

きちんとソファに座り直して私の方を見つめる。

「中野さんに伝えておきたいことがある」

『はい... 』

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