【短編集】ピーチネクター (ページ13)

今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:22,033 hit

カフェモカページ13

.
.

帰り道、道端にダンボールが落ちていた。

風に吹かれてここまでやってきたのかと

そのまま脇を通ろうとしたら、

箱の中に茶色い毛玉が見えた。

近寄ると、

毛玉が小さく鳴いた。

『 ...今のご時世トイプードル捨てる？』

毛玉は、捨てられた小さいトイプードルだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

家に帰る前に近くのスーパーで

子犬用のミルクとかシャンプーを買っておいた。

いや、あんな所に置いておく訳にはいかないからね。

一時的よ、一時的。

そう言い聞かせて家に帰る。

少し汚れてしまっている子犬を洗って、

ドライヤーで乾かして。

出会った時と見違えるように可愛くなった。

(服も買っちゃったから一応可愛い服も着せておいた)

『ピンクが似合うね』

『モカちゃんにしようか』

新しい(一時的な)同居人ができてちょっと嬉しい。

女は犬を飼い始めたら結婚できないなんて聞くけど、

可愛いもん、そんなことどうでもいいよね！

『私もお風呂はいろ... 』

モカちゃんいい子にしてるかな。

スヤスヤ寝てたら可愛いな。

そんなことを考えてたら

リビングのモカちゃんが気になりすぎて

いつもは1時間かかるお風呂も 15分ほどで終わった。

『モカちゃ..... 』

ウキウキ気分でリビングに入るも

もふもふなモカちゃんはおらず、

代わりに

「こんばんは」

『えっ』

「モカちゃんです」

若い男の人がいた。