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Aside
A「…覚醒？」
私は近づいてくる疾風から遠ざかるように
姉弟を抱き締めながら後ずさりした。
疾風がステージ上に現れたことで、
また配役が増えたと思ったのか、
客たちは疾風に拍手を送っている。
疾「えぇ…。あなたは歌わなくても、
声を出すだけで
魔術が使えるようになったんですよ」
A「え…！？」
私は思わず、自分の喉を触った。
なんで急にそんな事が
出来るようになったんだろう…？
すると、疾風は少し離れた位置から
私に向かって手をかざした。
疾「仕方がありませんね…」
そう言うと、
疾風が私の目を見て、
小さな声で短い言葉を発した。
その瞬間、
急に私の喉が焼けるように熱くなり、
気絶しそうな程の痛みを感じた。
A「う…ぁ…」
暫くの間、熱したフライパンを
喉に当てられているような激痛が続き、
私は思わず喉を押さえながら
その場に跪いた。
女の子「お姉さん…大丈夫…？」
女の子が心配そうに
私の背中を擦ってくれたけど、
それにも返事が出来なかった。
客席も、さすがに異変に気付いたのか
ザワついている。
暫くしてその痛みと熱さが止むと、
肩で息をしながら私は疾風を睨んだ。
そして“何をしたの！？”と
言おうと思った。
実際、唇はその動きをしたはずだった。
それなのに、
私の耳には自分の声が届かなかった。
え…？
私はハッとして
また喉を触った。
すると、疾風が憐れむような顔で
「だから言ったじゃないですか…」と言った。
私がそれでも睨んでいると、
疾風が近くに来て
私の顎に手を添え、上を向かせた。
疾「あなたの“声”は
私が預かりました。
だから大人しくしていてください」
そう言った疾風の左手には、
オレンジ色の小さな光の玉が
フワフワと浮かんでいる。
あれが私の声…？
疾風はその光の玉を
小さな小瓶に入れて
胸ポケットに仕舞った。
すると、急に客席から
「ネックレスだ…！
ネックレスを持ってるぞ…！」
という一人の男性の声が聞こえた。
ふと自分の胸元を見ると、
服からネックレスが出て、
客席の方から見えてしまっていた。
私は慌てて
ネックレスを服の中に仕舞ったけど、
もう遅かった。
客たちが皆立ち上がり、
こぞって私の事を
熱狂的な視線で見始めた。
疾「…とりあえず、部屋に戻りましょう」
疾風がそう言ったのと同時に、
我を失ったような表情の客たちが
我先にとステージへ走り
集まってきた。
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こあらっこ(プロフ) - さくらさん» さくらさんにまたコメントして頂き本当に感謝です！嬉しいです〜（泣）お待たせしてしまい申し訳ございません、近々アップ出来る様に頑張りますね！いつも楽しく読んで頂いてるとの事で本当に嬉しいです！ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します！ (2021年3月7日 15時) (
レス) id: e1db37f72a (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 楽しく読んでいます。忙しいと思いますが更新楽しみにしています。 (2021年3月7日 14時) (レス) id: 63aab54572 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こあらっこ | 作成日時：2021年2月25日 16時
