４ ページ13
Aside
歌い終わると、私は
少し眩暈がした。
やっぱり久しぶりに魔力を使ったのと、
全然ご飯を食べてなかったからか、
貧血のように頭がクラクラして
床に座り込んだ。
慎太郎の体を見ると、
傷はちゃんと治せたみたい。
ただ、服がまだボロボロだったから
それも直してあげたいけど…
今はちょっと無理そうだ。
そう思って
慎太郎の顔を見上げて、私は驚いた。
無表情ではあるけど、慎太郎の両目から
一筋の涙が流れていたのだ。
しかも、隣にいる疾風も
慎太郎が泣いていることに
驚いた表情をしている。
いつも薄ら笑いを浮かべてる疾風が、
こんな表情をするのは初めて見た…
すると、急に扉の方から
拍手の音が聞こえた。
私と疾風は同時に
部屋の後方を振り返った。
？「素晴らしい歌声だ…
君が“伝説のヒーラー”だね？」
そこに立っていたのは、40〜50代くらいの
小太りで髭を生やした男性だった。
いかにも高そうな服や装飾品を身に着けているのに、
ニヤけたその表情やねっとりとした話し方は
なぜか疾風よりも嫌悪感を抱かせた。
疾「ローガンさん…」
珍しく、疾風がどこか面倒くさそうに
低い声で言った。
すると、ローガンと呼ばれた男性は
フンッと鼻を鳴らしながら
私たちに近付いてきた。
私はまだ立ち上がれなかったけど、
何となく慎太郎の方に後退りをした。
ロ「お前の秘密主義には
そろそろ辟易していたんでね。
見張っていたんだよ、疾風。
案の定、もうヒーラーを
連れてきているではないか。
なぜ報告しない？」
疾「…」
ローガンにそう言われた疾風は、
今までで一番冷たい目をしながら
返事もせずにローガンを見下ろした。
ロ「まぁいい。それより
例のモノはどうした？」
ローガンがそう言うと、
疾風はまたもや何も言わずに
机の引き出しを開けて
何かを取り出した。
それは間違いなく
私の金色のネックレスだった。
私が驚いていると、
疾風はローガンにそれを手渡した。
ロ「…今度こそ、本物なんだろうな？」
疾「えぇ…。
彼女が身に着けていたものですから。
間違いありません」
すると、ローガンは「そうか」と言って
ニンマリ笑うと、今度は私に近付き、
床に座り込んでいる私の顔を
マジマジと見つめた。
ロ「ふ〜ん…まぁ
服と化粧を何とかすれば
少しは高く売れそうだな」
何の話をしてるんだろう？と私が思っていると、
疾風が今まで見たことも無いほど
怒った表情でローガンを睨んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 249人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こあらっこ(プロフ) - さくらさん» さくらさんにまたコメントして頂き本当に感謝です！嬉しいです〜（泣）お待たせしてしまい申し訳ございません、近々アップ出来る様に頑張りますね！いつも楽しく読んで頂いてるとの事で本当に嬉しいです！ありがとうございます！これからもよろしくお願い致します！ (2021年3月7日 15時) (
レス) id: e1db37f72a (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 楽しく読んでいます。忙しいと思いますが更新楽しみにしています。 (2021年3月7日 14時) (レス) id: 63aab54572 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こあらっこ | 作成日時：2021年2月25日 16時
