NEW WORLD ～6つの原石～２ (ページ48)

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Aside

優吾がいきなり
お腹を抱えながら、顔を歪めて座り込んだ。

ジェ「優吾！？大丈夫！？」

私もジェシーも慌てて座り、
優吾の体を両側から支えた。

先ほど蹴られた箇所が
安心したことで痛んできたのだろうか。
優吾は呼吸も短くなって苦しそうだ。

A「ジェシー、優吾の体を支えられる？」

ジェシーはキョトンとしながらも
優吾の上半身を支えるように抱き直した。
私は意を決して両腕の袖を捲り上げる。

ジェ「え、ここで治すつもり！？」

優「ダメ…ヒーラーは貴重な存在だから…
誰かにバレたら狙われちゃう」

A「そんなこと言ってられないよ！

お願い、せめて歩けるくらいまでは
治させて？」

私はこれ以上痛がる優吾が見ていられず、
祈るようにお願いした。

ジェ「…優吾、俺からもお願い」

ジェシーも真剣な顔で
お願いしてくれた。

優「…わかった。
ごめんね…。
お願いします」

私とジェシーは周りをキョロキョロと見渡し、
人がいないか確認した。

ジェシーが私を見て頷いたので、
なるべく小さな声で歌い始める。

それと同時に両手を優吾のお腹に当てて
早く治るように祈りながら歌う。

優吾は目をつぶって歌を聞いていたけど、
途中から呼吸が落ち着いてきたようだ。

大丈夫そうかな？と思って顔を覗き込むと、
優吾の目から一滴の涙が零れて落ちた。
そしてジェシーの腕の支えから起き上がり、
「ありがと」と涙を拭いながら言った。

なぜかジェシーも鼻をグスグスとさせている。

A「歩けるかな？」

優「うん。もう大丈夫。
むしろやりすぎ。
完治しちゃったよ…」

優吾が眉毛を下げながらも微笑んだので、
やっと安心することができた。

3人で立ち上がると、
今度は私が少しフラッとしてしまった。
力を使いすぎて眩暈がしたのかもしれない。

ジェ「ちょっ、ちょっと大丈夫！？」

ジェシーが驚いて
私の腕を引き上げてくれた。

A「大丈夫、大丈夫！
ちょっと走り過ぎて足がもつれちゃったみたい(笑)」

私は二人に心配をかけないように
咄嗟に嘘をついた。

優「めちゃくちゃ速かったもんね(笑)」

ジェ「そうそう！
運動会があれば
絶対リレーの選手だね！」

A「ウンドウカイって何？」

優・ジェ「…」

優吾とジェシーは顔を見合わせて笑いながら、
「運動会っていうのはね…」と話し始めた。

優吾の怪我が治って安心していたのも束の間、
まだ後をつける人影が居た事に
私たちは気付くことが出来なかった。