NEW WORLD ～6つの原石～２ (ページ47)

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優吾side

俺は体中を蹴られて全身に痛みを感じていた。
口にも血の味が広がる。

どうしよう…と考えるが
痛みで思考が定まらない。

するとジェスとAが
俺の名前を叫ぶ声が聞こえた。

力を振り絞ってそちらを見ると、
物凄い形相で男たちをなぎ倒すジェシーの姿が見えた。
あまりの威圧感に
腰を抜かしている連中もいる。

俺を蹴り飛ばしていた奴らも、
呆気に取られてそちらを見ている。

すると「キュー！」という
Aの声が聞こえた。

ポケットの魔術を解いたのか、
勢いよくキューが飛び出し、
Aを捕まえている男の顔に
針を突き刺していた。

その男はギャーっ！と叫んで
顔を手で覆いながら後ろに倒れた。

自由になったAは
「優吾！魔術使える！？」と叫びながら
走り出した。

その後ろを２～３人の男が追いかけるが、
全く追いつけそうになかった。

そうか！
二人とも自由になったから
魔術を使える…！

俺は縄で縛られながらも、
指で小さな術式を描いて
「大成(たいせい)！」と言った。

するとどこからともなく
大量の水がやってきて男たちを飲み込んだ。

もちろんジェシーは流されず、
流れていく男たちに
「BYE～♪」と笑いながら手を振っていた。

周りの男たちが流されると
ジェシーが俺の縄を解いた。

自由になった手でさらに術式を描き、
水槽のように水を一つにまとめて
その中に男たちを取り込んでいく。
息が出来なくて苦しそうだ。

ジェ「もう二度と俺たちに近づくな…！
大会でも絶対に負けないからって
“アニキ”に伝えとけ！」

ジェシーがドスの聞いた声で言うと、
男たちはブンブンと水の中で頭を振って頷いた。

するとAも図書館を一周してきたのか
走って戻ってきた。
その後ろをまだ男たちが追いかけている。

Aは俺が作った水槽を見て
状況を把握したらしい。
さらにスピードを上げて走ってきたAを、
ジェシーがクッションになるように抱き止めた。

ジェ「おっと！大丈夫？」

優「ナイスラン(笑)！」

俺達が微笑むと
Aは照れ笑いしていた。

そしてAを追いかけてきた男たちに向かって
水槽の水を大量放出した。

すると男たちは叫び声をあげながら、
水と共に森の中に消えていった。

ジェ「ナイス放流！(笑)
ね、今度あれで流しそうめんしよ！」

優「ふざけんな！魔術の無駄遣いすんなよ(笑)！」

そう言ってジェスにグーパンチしようとした瞬間、
お腹に痛みを感じて俺は地面にへたり込んだ。