NEW WORLD ～6つの原石～２ (ページ35)

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大我side

樹と俺は幼馴染だ。
小さい頃から一緒に育ったから、
俺にしたら“王子”なんて呼ばれると
気持ち悪くて仕方ない。

第一、俺は王子なんて
なりたくてなったわけじゃないし。

公務だってやりたくないけど、
やらないと樹が怒られるし。
まぁ根は真面目だから？
やるんだけどさ。

つまんないから
いつも樹で遊んでる(笑)
あんずを連れ出すのは卑怯だけどな。

俺はあんずを抱きながら、
まだブツブツ文句を言っている
樹の後ろをついていく。

俺と同じくらいの背格好で
ピンクの髪色をした樹。
その耳には青い石の付いたピアスが光っていて
それが妙に大人っぽい。

俺がじーっと見ていると、
視線を感じたのか、樹が俺を振り返った。

樹「ねぇえ～大我、聞いてんの？
俺の立場も考えろよ…
俺がお前のこと呼び捨てになんてしたら
お父様に怒られるだろ？

頼むから仕事中は勘弁してくれよ…」

樹は他の奴らに聞かれないように
ひそひそ声で言ってくる。

大「わかったよ…

その代わり、今日もいつも通り、
夜は行くからな！」

樹「えぇ～…またかよ…
それこそ見つかったら
俺殺されるかも…」

そう言って樹は頭を抱える。

大「大丈夫だって！
絶対見つからないから！」

俺が自信たっぷりに言うと、
樹は泣きそうな顔で
「勘弁して～…」と言った。

結局、俺が仕事を始めたのは
お昼を食べ終わって
あんずと遊んで
アフタヌーンティーを飲んでからだった。

それでも予定通りに仕事を
終わらせてるんだから
やっぱ俺って天才？

広いベランダに出てみると、
まだ夕日が沈む前だった。

樹は俺に明日の予定を
真面目なフリして話してる。

まぁ樹も
俺がそんなの聞くわけないと思ってんだろうけど、
その通り聞いてない(笑)

そんなことより俺は、

左上が少し欠けている太陽が
気に掛かって仕方がない。

真っ白な王宮をオレンジに染める夕日が、
俺には気味が悪くて
少しブルっと体が震えるのを感じた。