NEW WORLD ～6つの原石～２ (ページ34)

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ピンクと青の原石１ページ34

樹side

樹「王子～！王子～～！？
どこですか～～？」

俺は既に汗だくになりながら
大声で叫び続けている。

毎日の日課になっている
“王子探し”だ…。

この東京ドーム６個分もの王宮に住んでいる王子、
“大我様”は毎朝俺が来る度に隠れんぼをするもんだから、
午前中はほとんど仕事ができない。

俺の仕事は王子の執事、兼ボディーガード。
それ以外にも、最近ではこの国の王家である
“京本家”の仕事も与えられてきたから、
ものすごい仕事量なのだ。

それなのに…

１時間以上探しても
王子の姿は見当たらない…

仕方ないな。
こうなったら最後の手段を使うしかない。

樹「おい、あの子を…」

俺は近くにいた若い兵に
そう命じた。

兵「樹様、連れてきました！」

兵が連れてきたのは１匹の犬。
この犬は「あんずちゃん」といって
王子の愛犬だ。

樹「あんずちゃ～ん♡
今日も可愛いですね～～♡
はぁ～い、じゃあ～、
あんずちゃんのだ～い好きな王子様を
探してきてね～～～♡」

俺がそう言うと、
とても愛らしいあんずちゃんは
ワン！と返事をして王宮の中を駆け出した。

その後をついていくと、
これまた学校の校庭以上の広さがある
中庭に出た。

樹「ちっ、今日は中庭だったか…」

そう舌打ちしながら
あんずちゃんの後を追っていくと、
中庭にある花壇の中に
俺の探している人が寝ていた。

ピンクの花が咲き誇る花壇の中で
その人の寝顔は負けず劣らず美しかった。
白い肌に金色の輝く髪。
長いまつ毛に赤い唇…。

そして頭にはサークレットを付けていて、
その真ん中にはピンクに輝く石が付いていた。

王子じゃなくて白雪姫なんじゃないかと
思わず目をこする。
…おっと、ダメだ。
これじゃいつもの王子のペースだ。

樹「…王子！見つけましたよ！
またこんなところにいて！」

俺がそう声を掛けると、
王子は少しだけ目を開けて俺をチラ見し、
上半身だけ起き上がった。

そしてそのまま俺を無視して、
尻尾を振るあんずちゃんを抱きかかえた。

大「…何度も言ってんじゃん。
俺のこと、大我って呼ばないと
鼻にドングリ詰めるよ」

樹「もう…大我…！
わかりましたから、
早く部屋に戻ってください！」

大「…その敬語もヤダ。」

樹「…はいはい、
ほら、もう行くよ！」

俺が諦めてタメ口で話し、
無理やり手を引いて立たせると
「ふっ、樹怖いよ？」と
ニヤニヤした顔で見るこの王子は
腹がたつけど憎めない。

毎日こんな感じで
俺は弄ばれてるんだ…。