NEW WORLD ～6つの原石～２ (ページ24)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:63,159 hit

６ページ24

優吾side

俺たちは体を拭きながら、
Aを抱っこするオキノさんを見守っていると、
グスッグスッと鼻を鳴らしていたAから、
スースーという寝息が聞こえてきた。

まだ涙が流れていたけど、
雷が鳴っても震えてはいなかった。

オキノさんはしばらくそのままの姿勢でいたが、
ある程度、寝息のリズムが一定になると
またソファに寝かせて
掛け布団をかけてあげていた。

Aの寝顔は本当にまだ子供であどけなく、
2人がけのソファに
すっぽり収まって寝るAは
いつもよりさらに小さく見えた。

オキノ「…しばらく私が付いてるから、
あんた達は下でご飯食べておいで？」

優「でも…」

オキノ「こういう時は
女同士の方が良いのさ。
むしろ部屋を使っちゃうけど大丈夫かい？」

ジェ「それは全然良いですけど…」

優「…すみません、よろしくお願いします」

オキノ「うん…任せなさい」

オキノさんが笑顔で言うと、
俺達はお辞儀をして
下の階に向かった。

一階に着くと、そこには
俺の大好物である
オムライスが3人分用意されていて、
少しだけ気分が上がった。

優「とにかく食べよう…
頂きます！」

ジェ「頂きます…
A、大丈夫かな…」

俺たちはオムライスを少しずつ口に運びながら
会話を続けた。

優「今日はもう大丈夫だと思うけど…
これから雷が鳴る度に
辛い思いをするよな…

あと、ジェシーに話そうと思ってたんだけど、
父さんの言う通りであれば、
これからAと旅をしていくことになる。

色々と…その…覚悟はある？」

俺は一旦スプーンをお皿の上に置いて
ジェスの目を真っ直ぐ見ながら聞いた。

ジェ「うん…俺もさっき同じことを考えてた。
オキノさんも言ってたけど、
Aは今まで色んなことがあったんだろうね。

優吾が今朝、話を途中で止めたのも
そのせいなんでしょ？」

ジェシーもオムライスをスプーンですくってはいたが、
そのまま皿の上に戻しながら言った。
ジェシーの目も真剣そのものだった。

優「逆に、ジェスは覚えてない？
俺の父さんが試験の後ネックレスについて
語った事…」

俺が続きを話すと、
ジェシーはスプーンを床の上に落としていた。

Aは辛いなんてもんじゃない過去を背負っている。

あの時の父さんの声が
俺の頭の中にゆっくりと響いた。
ネックレスについて語った、ある情報を。

紀之「…そのネックレスこそ、
10年前の戦いで亡くなった
魔術師の夫婦が作ったものだ…」と。