今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:289 hit
小｜中｜大
1 ページ1
…
……
風が、心地好い日だった。
頬を掠めては、するりと通り抜けていく夜風。ぬるい。その風は、時折夏の訪れを感じさせていく。私はこの湿った時期が嫌いだった。
一歩踏み出してしまえば、この体が足元にある無数の星たちと一緒になって、溶けてしまいそうだった。いっその事、溶けてなくなってしまいたい気分だった。
嗚呼、夏。今年はまだ聞いたはずのない蝉の声が、耳の奥にこびり付いているように鳴り響き始める。……嗚呼夏…数えてあげることが出来なくてごめんなさい。
都会のビル、夜、鳴り止まない蝉の音。溶けだしてしまいたくなる満点の星々に、この体を、……。……………………………………………
……
……ポケットの中が、震えた。
「…………誰……？」
都合よく鳴り響いたそのベルが
「………SUGA、……」
……私を、暗いコンクリートへと、引き戻した。
〇
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2020年6月28日 4時
