【忍たま】色恋にうつつを抜かせ【短編集】 続

逃げよう 2 ｰ夢前三治郎（成長パロ）ｰ リクエスト作品 ページ17

Aさんは悲しそうに俯く
わかってる、忍びの世界は残酷だから･･･。

情を殺して、無にならなきゃいけない。
仕事だから･･･頼まれたことだから。

夢「こんなところやめて、僕と同じ城で働きましょうよ」

「･･･無理だよ」

夢「なんでっ」

「ここの殿様の息子と祝言をしなきゃいけない」

夢「えっ･･･」

「だから無理なんだ、私もしたくは無い･･･」

夢「だったら僕と逃げましょう！こんなところっ」

「私は替え玉だ。替え玉としてここの姫となり、殺されるのが運命なんだよ」

Aさんの目には光が宿らなかった。
昔みたいに･･･キラキラした目じゃなくなっている。

殺されるのが運命･･･なんで受け入れちゃうんですかっ

夢「･･･っ」

「泣くなよ、三治郎は昔から笑顔が良く似合う子だろ？」

夢「だって･･･っ」

「最後に会えてよかったよ、ありがとう 三治郎」

夢「Aさんっ･･･」

『何か話し声がするぞ』

『まさか誰か忍び込んだのか？』

「さあ、気づかれる前に帰れ」

夢「でもっ」

ﾄﾞﾝｯ

屋根から押される
なんで･･･なんでそんな悲しそうな顔するですかっ

鉤縄で近くの木に引っ掛けて城を出る。

助けないと･･･絶対にっ
生きて欲しい、そんな運命 僕は嫌ですっ


情報をかぎつけた。
祝言があげるのは三日後だ。
きっと祝言は止められない･･･それなら。

『やぁー！おめでたいですな！』

『こんなべっぴんさんは他にいませんな！！』

下から声がする
笑い声や祝福する声。

その様子を屋根裏から見ている。
チャンスは一度きり･･･っ

煙玉に着火させて屋根裏から落とす。

ﾎﾞｫﾝ

『な、なんだ！？煙！？』

『敵襲か！？』

「ゲホッ･･･な、なんだ！？」

先輩を抱き上げて城を出る
煙が無くなった頃には城の中はきっと騒然としてるだろう。

それでも、それでもいいっ

外に連れ出しても尚 走り続ける
遠くに･･･遠くに。

「三治郎！」

夢「はっ･･･」

「何してるの･･･」

夢「あ･･･僕」

「･･･」

夢「僕っ･･･Aさんが殺される運命なんて嫌です！！」

声を荒らげる
世界でたった一人の好きな人だからっ
死んで欲しくない、わがままかもしれないけどっ

夢「生きて･･･僕の隣にいてくださいっ･･･」

膝から崩れ落ちて強く抱きしめる
叶わないかもしれないけど･･･っ

替え玉を受け入れたのはAさんだ
僕にはそんなの止める権利もない･･･けどっ

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