優秀な軍医は退職して一般ピーポー ①【鋼の錬金術師】 (ページ37)

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「･･･そう、ですか」

ﾊﾎﾞ「なんだよ、拍子抜けみたいな顔しやがって･･･俺が冷酷なやつだって思ってたのか？」

「いえ･･･そういう訳では」

ﾊﾎﾞ「確かに戻れるなら今すぐ戻って･･･大佐の元で働きたい。けどな、まずは助けてくれたあんたに恩返ししなきゃだろ」

「医者として当然のことをしたんです」

ﾊﾎﾞ「もしあの場にあんたがいないで、声をかけてくれるような人がいなかったら･･･きっと俺は死んでた、虚しく付き合ってた女に殺されてな」

「･･･」

ﾊﾎﾞ「最初はあんたのこと冷たいし、態度の悪い医者なんて思ってたけど･･･今は違う･･･患者のために、必死こいて頑張ってる･･･しかも、まだ若い女だ。
弱いところも見せず、前だけ向いてる･･･あんたかっこいいよ、死に損ないの俺なんかに諦めないでなんて声掛けてよ･･･。

ありがとな」

「･･･冷えるので窓閉めますね」

やってきたことが無駄じゃなかったんだって
人のためになって･･･ありがとうなんて言ってくれる。

心の底から嬉しかった。

いつも治すことに必死で、治せない時なんかは頭を下げて･･･怒号を浴びて、叩かれて。
それでも･･･救える命ために頑張ったんだっていい聞かせては自分を押し殺してきた。

「役に･･･立ってたんですね」

ﾊﾎﾞ「当たり前だろ、だからこうやって俺は生きてんだ」

泣くのを必死にこらえる。
ここで甘ったれてたら、この先も甘い人間になる･･･っ

でもっ間違いじゃなかった･･･。

それが何より、私の心の救いだった。

ﾊﾎﾞ「なあ、こっち来て泣いてもいいんだぜ」

「いいえ･･･っ泣いてなんかいません」

ﾊﾎﾞ「そうかよ」

「弱さを･･･誰にも見せたくありませんっ」

ﾊﾎﾞ「あんたは充分強いだろ、今は今まで溜め込んできたもんが流れてるって思えばいいだけだ」

「っ･･･なんだか、貴方に彼女がいる理由がわかる気がします」

ﾊﾎﾞ「女運は悪いけどな」

「けど･･･まだ弱さを見せたくは無いですね、見せるならもっと親密になってからです」

ﾊﾎﾞ「手堅いな･･･まっ好きなだけ泣いてくれよ、俺は寝る」

「･･･ありがとうございます」

カーテンを閉めて、部屋の電気を消して部屋を出る
何も無かったかのように接してくれる彼はとても優しい人なんだと心から思う。

ﾊﾎﾞ「･･･俺にはきっと必要な奴なんだろうな」