優秀な軍医は退職して一般ピーポー ①【鋼の錬金術師】 (ページ33)

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それから数日。
大佐が無理やり退院すると言い始めた頃。

ハボックさんは退役するという話をしていた。
検診をしながらそんな会話をされると言葉をかけられない。

「･･･」

軍人さんとハボックさんの母親が出ていく。
それと入れ替わりに大佐たちが入ってくる。

ハボックさんは割り切ったような顔をしてベッドに身を任せていた。

ﾛｲ「？」

ﾊﾎﾞ「俺の親と退役軍事局の人ッスよ」

ﾛｲ「退っ･･･」

ﾊﾎﾞ「留置所襲撃犯捕獲の際の負傷で退役ってことになりました」

ﾌﾞﾚ「ちょっと待てよ、退役してどうするだよ！！」

ﾊﾎﾞ「俺の実家は東部の田舎で雑貨屋やってんだ、電話番くらい出来んだろ。」

ﾛｲ「まだ治らないと決まったわけじゃないだろ！君からも何か言ってやってくれ！」

「確かに可能性はあります･･･」

ﾊﾎﾞ「フォローなんかしなくていい･･･自分がもう使えない人間だってわからないほど馬鹿じゃないっす
動けない駒は軍にはいらない」

ドキッと心臓が跳ねる
そうだ、いらない･･･ハボックさんの脈を測っていると少しずつ早くなっているのがわかる。

体は言葉よりも正直だ。

ﾛｲ「諦めるのか」

ﾊﾎﾞ「この足でどうしろってんですか」

ﾛｲ「しかしっ･･･」

ﾊﾎﾞ「･･･んて目してんだよ」

グッと歯を食いしばっていた。
本人が一番悔しいはずだ･･･そんなの分かってる･･･けど、かける言葉が無い。

大佐の胸ぐらをつかみ、怒号を浴びせる。

ﾊﾎﾞ「捨ててけよ！！置いていけよ！！
あんたこんな下っ端かまってる暇あんのかよ！！ヒューズ准将との約束があんだろうが！！」

ﾌﾞﾚ「おい、ハボ！やめろっ！」

ﾊﾎﾞ「見ろよっ人に支えてもらわなきゃ上半身すらまともに起こせねぇっこの体たらくを･･･同情なんて･･･いらねぇんだよっ！！
切り捨ててってくださいよ･･･諦めさせてくださいよっ

頼むからっ･･･」

心からの叫びは自分の傷を抉るだけだった。
何の役にも立たない、何も出来ない体になってしまった。

医者として不甲斐ない･･･。

ただ傍観してるだけだなんて･･･。
もう、いっそ･･･。

ﾛｲ「わかった、置いていく」

ﾊﾎﾞ「･･･っ」

ﾛｲ「置いていくからついて来い、私は先に行く･･･上で待っているぞ。」

あぁ･･･本当にかっこいい人だ。
待っているなんて･･･普通言えない。

私は･･･なんの言葉もかけられない。

何も無かったかのように、その場を離れる
私は無力だ。