優秀な軍医は退職して一般ピーポー ①【鋼の錬金術師】 (ページ32)

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ﾊﾎﾞ「はァ･･･わかったよ」

「っ･･･」

ﾊﾎﾞ「期待はしないで待っとく」

ﾛｲ「そこは期待しといてやれ」

ﾊﾎﾞ「！？大佐！？」

ﾘｻﾞ「A･･･貴方もしかして」

「他意はありません、医者としてです」

ﾘｻﾞ「ふふっそう･･･なら残念」

ﾛｲ「お似合いだと思うがな･･･まあいい、腹が減った」

「だから朝ごはん食べてくださいって言ったでしょう」

ﾛｲ「食べた、足りん。怪我人を舐めるなよ」

「･･･まあ確かに怪我を治すためにお腹はすきますからね」

･･･あ、もうこんな時間か。
そろそろ受診してくる人がいるから、行かないとな･･･。

ﾘｻﾞ「あ、待って」

「？」

ﾘｻﾞ「貴方ももしかしたら狙われるかもしれない･･･だから、気をつけて」

「大丈夫ですよ、殺されはしませんから･･･きっと」

そう思えるのには理由がある。
賢者の石を作れる人は限られている。

マルコーさんの所在が分からなければ･･･殺されることは0に等しい。
そのはずなのだが･･･まだ心のどこかで恐怖心を抱いている。

「･･･賢者の石」

それさえあればハボックさんの足も治る･･･なんでも直ってしまう･･･。
けれどあんなものを使うと知ったらハボックさんは嫌がるはずだ。

何人の命と引き換えに自分が助かる選択をする人だとは思えない。
けれど･･･チャンスがあるなら･･･。

「治してあげたい･･･」

少しだけ時を共に過ごして分かった。
優しくて気の遣える人だとは思う･･･あの大佐があそこまでしたいって思ってるんだ。

･･･私情は挟むな。

『Aさん患者様が呼んでます！』

「すぐに」

ﾊﾎﾞ「･･･奇跡か」

病室でひとり天井を見つめる
そんなものがあれば･･･今･･･怪我なんてしてねぇんだよな。

でも、生きてることが奇跡か。

あの言葉はちょっと刺さった。
普通に生きてたらそんな言葉なんて生まれない。
生きてることが当然で･･･奇跡だなんて言わない

イシュヴァールの戦いを見て
医者として人の命の限りを見て

多分奇跡を知ったんだと思う。

ﾊﾎﾞ「･･･言葉の重みが違うな」

不覚にもカッコイイと思ってしまった。
どんなに確率が低くとも･･･助けたい意思があり、一人一人のために全力をこなす。

初めは厳しい人だと思ったけど、少しづつだけど印象が変わってきてる気がする。