優秀な軍医は退職して一般ピーポー ①【鋼の錬金術師】 (ページ13)

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そして私も自分の病院に戻る前に、元々担当だった方々に挨拶をしてから病院出る。
さて･･･もう大掛かりな仕事は良してくれよ。

夜。

「やけに騒がしいな･･･どうした？」

『あの･･･軍の方の遺体が･･･殺されたみたいで』

「･･･担当は？」

『まだ、あの･･･Aさんはやめておいた方がいいかと』

「知り合いでも･･･仕事はやるさ、私に回してくれ」

『はい、あっもしもし』

知り合い･･･か。
いや、知り合いかどうかはまだ分からないし。

とりあえず遺体ってことは運ばれる前に亡くなったのか。

解剖室に行く
そこには前に会ったであろう人物がいた。

『あ、A医師』

「･･･名前は」

『マース・ヒューズ･･･中央の元軍法会議所所属の方らしいです･･･Aさん？』

「いや、連れてきてそのままか？」

『はい、眉間を撃たれて即死です。しかし手には武器らしきものが握られていました。』

「･･･安易にやられる人ではないが･･････よし、解剖しよう。遺族の許可は？」

『まだ連絡は･･･』

「･･･だが埋めるには結局内蔵は取らねばならない、顔を綺麗に拭いて･･･せめて綺麗な姿にしてやらないとな」

自分の手で綺麗にしていく
まさかこんな形でうちの病院に来るなんてな･･･。
神様は悪いことをする･･･。

肩にも･･･怪我か。

「あんたにはまだ娘もいたのにな･･･」

『もしかしてお知り合い･･･なら違う医師を』

「知り合いだからこそ、私の手で綺麗にしてやりたい･･･最後の姿くらい、な」

『･･･はい』

会って話したばかりだと言うのに。
なんで･･･こう、良い人って言うのは早く死んでしまうんだろうか。

「よしっ遺族に連絡してきてくれ」

『はい･･･でもおひとりで平気ですか？』

「あぁ、問題ないさ」

ｶﾞﾁｬﾝ

乱暴にドアが閉まり、2人になる。
積もる話も、家族の話も･･･もう出来ないのか。

「ヒューズさん･･･」

遺体は口を開けないまま･･･何も言わない。
きっとこの人は悔いという悔いを残したまま･･･逝ってしまったんだろうな。

「ゆっくり休んでくれよ、あんたはよく働いた」

聞いてるかも、届いているかも分からない。
けど言ってやりたい、せめてもの労いの言葉を。

すごく素敵な人で
明るくて･･･楽しい人だった。

もっと･･･沢山話してれば良かったな。
なんて思っても･･･もう無理か。