日向の幼馴染は陸上部です。Third

扇子鷲 勇輝 ページ45

勇「A！」

「ん？」

呼ばれた方を振り向けば、兄がいた。
先輩達は不思議そうに知り合いなのか？と聞いてくる

試合なんて･･･見に来てくれないかと思った

陸上馬鹿でバレーボールになんて興味の欠けらも無いはずなのに
母は少し離れた場所で見守っていた

車椅子に乗った人が話しかけてくるなんて
どんなストーリーを探してもここしかないなんて思う。

日「あ、お兄さん！！」

「兄さん･･･来るなんて聞いてないよ」

勇「折角試合に出るかもなんだから見るしかないだろ？それに応援してるのを見てるだけでも俺は安心したよ」

澤「えっお兄さん！？」

勇「はいっ･･･扇子鷲 Aの兄の勇輝です。烏野高校のOBで陸上部でした」

菅「･･･陸上部･･･！？もしかして連勝記録のっ」

勇「おぉ！よく知ってるね」

東「えっ･･･でも足が」

皆が凝視するのは車椅子。
陸上部でした、そう過去形の話だ。

今はもう走れない。

足にはひざ掛けがあり、兄も少し照れくさそうに話した。

勇「実は交通事故で･･･もう歩けないんだ、だから今は妹のために色々なサポートもしてるんだ。
会社も設立してるから、なにかできることあったら言ってね」

西「うぉぉ！カッコイイな！俺もそんなセリフ言ってみてぇ！」

「あはは･･･無理してこなくてもよかったのに」

勇「いいや、いいんだ。バレーボールってモノに興味も持てたから、次はそっちを勉強するよ」

日「じゃあお兄さん今度俺とパス練しますか！？これでも上手いんですよ！」

影「どの口が言ってんだ」

日「ぐぬっ･･･」

勇「あはははっ！ありがとう翔陽、また今度やろう！今はみんな試合に集中してくれていいから！また試合見に来る時は差し入れでも持ってくるよ！」

「「「あざーす！！」」」

勇「俺はもう行くよ、母さんも待ってるから！みんな頑張ってね！」

少し先まで車椅子を動かしていき、待機していた母は気遣い車椅子を押す
少し怖かった･･･あんな兄受け入れられないんじゃないかって

ちらっと横目で見ればメンバーと目が合う

澤「･･･良いお兄さんだな、目元とかよく似てたな」

菅「髪色も一緒なんだな、車椅子の時は驚いたけど･･･まあ色々あるからしゃーないべ」

西「陸上部で連勝記録って･･･学校にあるトロフィーってあの人のか！？」

日「家にも沢山あるよな、A」

「えっ！？あ、うん･･･まだまだ全然」

なんか思ってたより･･･かな。
驚いてなくてよかった。

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