日向の幼馴染は陸上部です。Third

プチ事件 ページ5

影「ボケ！道わかんねぇならさき走るんじゃねぇ！」

日「ま、間違いたくて間違えたわけじゃねぇし！」

ギャーギャーと道の真ん中で喧嘩を始める二人。
私達はそれを止めずに裏門から学校へ入る･･･少し振り向けば全力疾走で走ってくる翔陽と影山さんにぶつかられる

「ｵﾜｯ」

日「ってて･･･前見て走れよ影山！Aが怪我しちゃうだろ！？」

影「お前こそ前みろボケ！」

また言い合いになってる･･･ムクリと起き上がって土埃をはらう。

優しい私だって怒る時は怒る。
そう思って2人の鼻をつまむ･･･ふがっと声を出す、翔陽は震えながら影山さんは苛立ちながらこちらを見る。

「オイ」

いつもより低い声。
ビクッと肩を揺らす2人は目を見合わせて、いつものこいつはどこにいった･･･という表情で冷や汗をかいている。

裏門の前で先輩達が声をかける瞬間、鴉が鳴きながら私達の真横を通った。

「先に言うことあるよなｧ･･･」

「「ご、ごめんなさい･･･」」

「うん、次からは気をつけてくださいね。もし清水先輩にぶつかってたら田中先輩達も許しませんから」

いつも以上に満面の笑みで毒を吐いた。

先輩はなにがなんだかわからないまま翔陽を迷子になるなよなー！と茶化し始める、影山さんは鼻を抑えながら私の様子を伺う。

「別に本気で怒ってませんから大丈夫ですよ」

影「お、おう･･･」

「でも本当に気をつけてくださいね、清水先輩にぶつかって怪我させたら田中先輩達が黙ってませんから」

影「･･･お前って自分の事はいつだって後回しだよな」

「後回し･･･というか自分がされる分には構わないですよ別に、他人が怪我したりするのは嫌ですけど」

影「そういうもんか」

「そういうもんです」

いつもの私に戻ったのを見て安心したのか少しほっとしているように見えた。
案外面白いなと思いながら体育館に戻ってまた練習を始める、烏養監督の言うことは的確で練習メニューもレシーブ強化が重点的･･･。

考えることをやめて私は空っぽになる。

たまに家でぼーっとしてる時も目を瞑ると白い空間に一人立っている、なんて事がたまにある。
目を開ければいつもの部屋の天井に戻って目を瞑ると今度は黒いままでそのまま眠るなんてことしょっちゅう。

でも空っぽになる時だけは白い空間に投げ出される。

苦なんかじゃない、ただなんかふわふわした気分になって･･･何か起こるんじゃないかなと思う。

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