151：レディのエスコート ページ9
，
エース｢いい加減にしろよデュース〜〜〜、ユウがちょっとイメチェンしたぐらいでよ〜〜〜｣
デュース｢ぃやっ……あのっ！……あわわわわ｣
『その反応むしろ嬉しいまである』
真っ赤な薔薇が1本、硬直したまま動かない。
もうすぐ夕食時だと言うのに、一向に先輩たちの元へと向かえないものだから、エースは痺れを切らしてデュースの襟元を掴んだ。
エース｢ほら行くぞ〜｣
『いや…薄々感じてはいたけど、デュースって元ヤンのくせにウブなんだね』
デュース｢う、ウブとかじゃない！！｣
エースの手を振り払って、ぎこちなく自分の足で寮に向かっていく。
その足と手は左右同じ方を出して歩いていた。
エース｢あれどう思う？｣
『彼女いない歴=年齢とみた』
デュース｢う、うるさいぞ！｣
エース｢図星だなありゃ｣
食堂に向かうと、一気に人の数が増える。
本校者の大食堂で食べる者、学園の外で食べる者、時間が合わなかった者を除き、寮全員が集まる貴重な時間。
私とグリムは客人として、何故だか上座に近い席へ案内されてしまった。
『お気遣いなく…』
リドル｢いいんだ。君は招かれた立場なのだから｣
『(心臓に悪い笑顔だ…)』
放課後、別れ際にとんでもない口説かれ方をしたユウは、リドルのエスコートに体をガチガチさせる。
いや、この世界ではあれは口説き文句ですら無いのかもしれない。
イタリアやイギリスの紳士のように、自然体で発言しているのだ、おそらく。
『(それはそれですごい)』
オンボロ寮の女の子が突然現れたものだから、寮生は驚いて手を止める。
食事の準備当番であるケイトとトレイが、またも彼女の制服について言及してくれた。
ケイト｢スカートだ〜！！何それめっちゃいいじゃん！！あとで写真撮ろ〜！｣
『ぜひ！！！』
トレイ｢学園長に用意して貰えたようだな｣
『あ、トレイ先輩！制服ありがとうございました！』
トレイ｢いいんだ、どうせもう小さくて着れないし、そのままあげるぞ｣
『うーん、じゃあクリーニングに出して保管しておきますね、弟さんとかが使うかもって時言ってください』
トレイ｢よく弟がいるってわかったな｣
『雰囲気ですよ〜、兄弟いるって言ってたから』
トレイが、ユウのネクタイリボンに着いたピンに気付く。
抜かりない牽制に、眉を下げ笑った。
，
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
