148：自責の念 ページ6
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場所は変わり、人気のない閑静な鏡舎の端っこ。
イグニハイド寮に繋がる鏡の隅に縮こまったユウ。
体育座りをして顔を膝に埋めていた。
ユウは、先程イグニハイド寮の寮長に指摘された事について、大反省会をしている最中だ。
『(久々にはしゃぎすぎた……この世界のみんなが、あんまりにも優しいから、気を緩めすぎたんだ。もっと取り繕わないと、幻滅される)』
本性なんて出しても傷付くだけ。
女だからってお姫様扱いは幻想だ。
この学園の人達は、ここが男子校だから、私がここでたった1人の女の子だから、
決して私がお姫様みたいに可愛らしいから、“迷い込んだプリンセス”って呼んでる訳じゃない。
『(勘違いは嫌われる。脳内お花畑は気持ち悪い。私はこの学園で唯一の女。いい意味でも悪い意味でも。)』
この世の中には、嫌われている前提で関わった方が楽な事もある。
期待しなくていい。それに伴う失望の心配もない。
はっきりと言われても、｢知ってるよ｣って割り切れるから、傷付くことも無い。
ただ、
ただ、少しだけ。
『(…………しばらく寮には戻れなさそ〜)』
涙が出るくらい、虚しいってだけ。
当たり前だ。
誰が相手だって、嫌われたくない。
罵られたくなんてない。
なんのために、私が普段から笑顔を貼り付けていると思っているんだ。
嫌われない為だろ。
でも
『(嫌な顔されちゃった)』
当然、中にはそんな態度が気に食わないって人もいるわけで。
レオナ先輩やイデア先輩には、それは受け入れられなかったわけで。
情緒は絶え間なく不安定になり、チグハグな面倒くさい自身の感情に呆れながら、少しキツく言われただけで心が折れた自分に嫌気が差した。
『(イデア先輩は勘違いを正してくれたんだ。この学園はいい人ばかりじゃないって、優しい人だ)』
そこは、ハデスと一緒。
心臓に刺さったトゲを落ち着かせるために、深呼吸をしながら時間が経つのを待つ。
落ち着け、落ち着け、泣いたって面倒くさいだけ。
誰かに見られたら、面倒くさがられて、もっと虚しくなるだけだ。
だから誰にも気付かれちゃ
ラギー｢ユウくん？｣
ダメだな今日。
呼ばれた驚きで顔を上げてしまう。
ラギー先輩は困ったように眉を下げ、膝を付いてこちらの顔を覗き込んでいた。
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
