164：鬼ごっこ ページ22
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『ひょえっ』
顎に手を当て、にっこりと笑った双子の片割れ。
リドルが｢フロイド！！｣とキレ散らかしている事から、こちらは資料にあったジェイドという人物なのだろう。
入学前と、この前の教室で、どちらか、もしかしたら、どちらとも面識があるかもしれない、と混乱したユウは失礼のないように『先日ぶりです！！！』と体を硬直させた。
ジェイド｢おやおや、今度こそ本当の意味での先日ぶりですね、迷い込んだプリンセス。｣
『こ、この前はお世話になりました…』
どうにか話を合わせ、撤退命令も出ているので1歩右にずれて前に進もうとする。
すると彼も私と同じ方にずれ、退路を塞がれる。
気の所為かと思い、今度は左にずれて1歩進む。
やはり彼は私と同じ方にずれ、それは叶わなかった。
『…』
ジェイド｢…｣
『…あの……』
ジェイド｢僕、“スカート”という服について、名前だけは知っていたんです、ですが陸の制服でこのような形は初めて見ました。｣
『へ』
ジェイド｢大変興味深い。スカートとは、見た感じスラックスのように二本足で無くても着る事ができそうですね。おや？この下のフリルは…｣
『うぎゃぁ！？』
リドル｢フレイムブラスト！！！！｣
一瞬にして真っ赤な炎が目の前で燃え盛り、手を引かれ校舎の出口へと全速力で走る。
マイペースな喋り方をする、フロイドの餌食になったらしいエースは、フロイドに話しかけられたことによるリドルの癇癪を防ごうと2人の間に入り、案の定それに腹を立てたフロイドに顎を鷲掴みにされたらしい。
両頬に赤い手のひらの痕が着いている。
『痛そう…』
エース｢バスケ部は入部初日に何人か食らってたぜ｣
デュース｢ボールと見分けがつかないんじゃないか？｣
ようやく迫ってくるフロイドから離れられ、鏡舎の入口付近で疲れ果てるハーツラビュル＆オンボロ寮生。
フロイド･リーチ。
リドルとエースという、タイプの全く違う2人が揃って敬遠するのも頷ける異端ぶりである。
そして双子の片割れであるジェイド･リーチもまた別のベクトルでの異端ぶり発揮していた。
エース｢がっつり捲ってたな｣
『がっつり捲ってたね…』
エースとユウの言葉に、彼と同じクラスであるリドルは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
その手にはマジカルペンが握られていた。
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
