159：実力でもなんでもなく ページ17
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『トレイ先輩っ！！！』
トレイ｢ユウ！？｣
荒々しく扉の開く音に体を硬直させ、その次に大きく一歩を踏み出そうとする少女の動きを停めた。
近くに置いてあった教科書で。
『うぐふっ』
トレイ｢これは驚いた、すごい勢いで入ってきたな｣
リドル｢レディが躊躇いもなく異性の部屋に入るものではないよ！！｣
『トレイ先輩！！大丈夫ですか、足、階段から落ちたって！！』
エース｢いや話聞け！！｣
魔法で操作された教科書に抗うほどの怪力は持ち合わせていない為か、本人の意思に反して後退していくユウに、トレイが魔力を弱める。
ユウは走ってきた為か、不安のためか、冷や汗をかいて崩れ落ちた。
トレイ｢ただ足を挫いただけだから、そんなに慌てる必要は無いんだが…｣
グリム｢子分のお見舞いもちゃんと俺様が渡しといてやったから、安心するんだゾ！｣
『でも…』
ケイト｢…カルチャーショックかもね〜｣
トレイの言葉に、体を硬直させたユウに、ケイトが目敏く反応してフォローを入れる。
リドルが首を傾げたところで、ケイトは怪我人を休ませてあげようと進言し、トレイ以外の一同は部屋から退散した。
ケイト｢ど〜見てもなんか訳アリじゃん、リドルくんがオーバーブロットした時よりも焦ってたよ。｣
『す、すみません…』
客人として紅茶が出され、それを一口飲んでようやく肩の力が抜けたようだ。
不安そうに子分を見つめるグリムに、毒気の抜けた笑顔を向けて、学園長から仰せつかった任務について、エースと共に説明を始めた。
『犯人の目星は付いているんですけど、どうにも犯行現場と証拠を押さえられる気がしなくて…』
リドル｢なるほど、一人と一匹だけで犯人の特定に至れただけでもお利口だよ。｣
『わ、私が特定したわけじゃないです！』
｢｢｢？｣｣｣
私はお話の結末を知っているだけ。
もし、ここが名前も何も知らない世界だったのなら、私だけの力で犯人を特定するなど、それこそ夢物語だろう。
リドル｢実は、僕何か変だと思って、すぐにケイトに情報収集をしてもらっていたんだ。｣
エース｢うわ、ケイト先輩の情報網ってエグそう…｣
ケイト｢ありがと♪｣
彼によれば、近日中に怪我をした生徒の大多数が、トレイ先輩やリドル先輩のようなマジカルシフト大会で有力選手と噂されている人らしい。
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
