156：ライオンの牙 ページ14
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『よし！じゃあ別行動って事で！！』
グリム｢って、はぁぁあああ！？！？どう考えても今一緒に聞き込みに行く流れだったんだゾ！！！｣
意気揚々とオンボロ寮を出発し、誰に聞き込みを行うか作戦を立てながら歩いていると、ひと段落来たところで足を止められた。
ガラス張りの植物園が、放課後の日差しに反射して眩しい時間帯。
ユウは目を細めて植物園の方を眺め、グリムの背中を押した。
グリム｢なんでまた別行動なんだゾ！あれか！？またシルバーってヤツか！？｣
『シルバーさんでは無いけども』
グリム｢ぐぬぬ…！それ、俺様たちがマジフトに出られるような用なんだろうな！？｣
『まぁ、巡り巡って…？』
グリム｢なんなんだゾ！？｣
なんとか親分を説得して、グリムには保健室に運ばれたハーツラビュル寮生の元へ聞き込みに言ってもらう。グリムが行ったのを確認して、ユウは植物園へ足を運んだ。
『レオナ先輩』
植物園の1番日当たりが良い芝生、最初に会った時も、騙されてクルーウェル先生に場所を聞いた時も、先輩は暖かい日差しの下にいた。
レオナ｢帰れ｣
やっとの事で見つけた彼に話しかければ、一言目に突っぱねられてしまう。
やはり、嫌われている。
『…ここ、暖かいですね……いつもこの時間はここにいるんですか？』
レオナ｢そんなくだらねぇ事を聞くために俺の昼寝を邪魔したってのか？咬み殺すぞ｣
のっそりと体を起こしこちらを睨み付ける。
ただの世間話のつもりだったのに、こんなにも否定的な意味で捉えられるとは。
オーバーブロットに気を付けろ、と言いに来たのだが、こんな事を言おうものなら彼はこの前のリドル先輩のように激高し、彼の言う通り私は亡き者になるだろう。
母にお別れも言えず、異世界で死ぬなんてゴメンだ。
彼を怒らせないような話題も無くなり、口を噤んだ。
『…』
レオナ｢俺が寝惚けてる内に帰りやがれ。テメーが臭くてろくに寝られやしねぇ。｣
『ヴィル先輩の化粧品の匂いですか？』
無視される。
もう二度と返事は帰って来ないだろう、と考えるも、このままではシナリオ通りに彼はオーバーブロットをして、そして、ここは夢では無い現実の世界だから、きっと一歩間違えれば彼は死んでしまう。
目の前で眠りこける先輩を前に、先日のリドル先輩の歪な心を感じたのだ。
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
