153：スタッフ ページ11
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『あの、何を…？』
暗いバックヤードの奥の奥、何かの箱をガサゴソと漁っているサムさんに、電気はつかないのかとスイッチを探す。
趣のあるこの店に、そんなもの存在しなかった。
サム｢制服じゃ味気無いだろう？cuteな小鬼ちゃんにniceな店の制服をあげようと思ってね！…全く何だこのジャングルでしか着れなさそうなドレスは！｣
『ありがとうございます！』
サム｢秘密のお友達もいない君が異世界で一人、さぞ心細かったろう。俺は可哀想な小鬼ちゃんをほっとけないのさ。｣
5月に咲くマグノリアの様に綺麗なドレスをも放り投げ、何だか気に入らない様子のサムさん。
全部、全部、ティアナが着ていた服にそっくりだ。
全部着てみたいな。
『…あ、これ』
サム｢……それが気に入ったかい？｣
ティアナが、あのかの有名なベニエをシャーロットのお父さんに給仕したお店の、黄色いワンピース。
シンプルだけど、主人公が夢を掴んだ、最初の服。
『(こんなのもあるんだ…)』
サム｢…ちょっとダケみすぼらしい気もするけど〜、小鬼ちゃんが気に入ったのならそれにしよう！！このMr.Sのミステリーショップに恥じない接客をしてくれよ！！｣
暗いバックヤードが花火やらクラッカーやらで眩しく光る。
驚いて目を瞑る、
次に開けた時には、サムさんはカードを数枚か、私の目の前に掲げた。
『これは…』
サム｢好きな日時を選んでくれ！｣
『いや、全部同じ柄』
サム｢さぁ！｣
『えぇ？』
タロットカードだろうか、拒否権のないそれに動揺するも、おずおずと1枚カードを選べば、サムさんは嬉しそうにタロットをマジックで消した。
『わっ』
サム｢おめでとう！！初出勤は3日後だよ！！｣
『初出勤のくじ引きだったんですか！？』
サム｢じゃあ3日後、楽しみにしているよ、学園長からお話があるんだろう？行ってらっしゃい♪｣
ガチャりと、ミステリーショップのドアが閉じられる。
やはり、ヴィランズサイドにとって、主人公の服装を選ぶのはマズかっただろうか。
サムさんの言葉選びを思い出しながら少し申し訳なくなる。
新しくもらった新品の黄色いワンピースを手に、あんまりスキップをしないようにオンボロ寮へ帰った。
グリム｢あ！遅せぇんだゾ子分！！マジフト丁度終わっちまったじゃねーか！！｣
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作者名：鈴木(仮) | 作成日時：2024年3月3日 10時
