【ワールドトリガー】ふぁっきんないすでぃ(・Д・)

episode３８ ページ39

「ええと……」


寝具を不織布のケースから出しながら、Aは沢村に尋ねる。


「なに？」


ガス台のつまみをまわし、ガスがきていることを確認しながら、沢村は答える。

Aは何か言おうとして、新しい布団から出る埃にくしゃみをした。


「あらあら。大丈夫？」


くすりと笑って、沢村はAを見る。

Aは恥ずかしそうに鼻をすすった。


「やかんを取ってくれない？」


火を止め、沢村は尋ねる。

Aは辺りを見回し、アルマイトのやかんを取った。

そのツルツルした表面にうつる自分の顔を、じっと見る。


「ええと…あの……」


やかんを沢村に渡し、Aは床にまとめていた食器類から、湯のみとカップを選ぶ。


「その……」


ザアアと、沢村がやかんに水道水を注ぐ音を聞きながら、床の板をカリカリと爪で掻いた。


「どうしたの」

「名前、何て言うんですか？」


恥ずかしそうにうつむく。


「そういえば、言ってなかったわね」


水を入れたやかんを火にかけ、沢村は笑う。


「沢村鏡子よ。好きに呼んでいいわ」


そう言い、Aの傍に寄った。


「みさきさんは……」

「え？」


何の気なしにつぶやいた言葉に、Aは目を丸くする。

あら、と、沢村はAを見た。

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