ずっと前から好きでした。 (ページ9)

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【慎side 】

壱馬｢俺キャラメルにしよっ！｣

慎｢俺は…ブルーベリーで｣

壱馬｢Aたちは？｣

A｢ん～どうしよ…、こっち！あっ、でも～…｣

杏奈｢まだ決まんないの？笑｣

A｢もうちょっと悩ませて～…｣

入学式が終わった後、

駅前のクレープ屋に寄った

そしてAは

案の定、どのクレープを食べるか悩んでいる

これは日常茶飯事

みんなあきれて放っておいてるけど

放っておいていればいるで一生決まらない

そんな時Aが｢ねぇ慎～、いちごとバナナどっちがいいと思う～？｣と、話しかけてきた

｢どっちでもいいんじゃね｣とこたえると、

｢それが1番困る～！！｣と、さっきよりも
さら困ったような顔をして
またメニューとにらめっこ

このままでは埒が明かない

慎｢いちごとバナナください｣

A｢ちょっとっ！？私2つも食べないよ！？｣

慎｢いいよ俺が食べるから｣

要するに俺がどちらかを食べて、少しあげればいい話

何十年も一緒にいればこんなことくらい分かる

店員｢お待たせしました～、いちごとバナナのクレープです｣

慎｢ありがとうございます、はい｣

店員さんからクレープを受け取って

Aにいちごクレープを渡した

けどAはいつまでも俺の手にあるいちごクレープを見つめている

だから｢俺バナナの方が食べたいからいい？｣って聞いたら、

｢…別にいいけど｣って言いながらも、
不貞腐れた様子で少しずついちごクレープを食べ始めた

食べたい、欲しい、全部顔に出てる

慎｢いらないの？｣

A｢何が？｣

慎｢これ｣

A｢だって慎が食べてるじゃん｣

本当は食べたいけど私が食べたら慎の分がなくなっちゃう、とか思ってるんでしょ

ほんと変な所までお人好し

慎｢けどお前、食べたいんでしょ？｣

A｢…いいの？｣

慎｢いいから聞いてんじゃん笑｣

その途端、みるみるAの顔が晴れていき、
｢やった～！ありがと、慎～！！｣と言ったかと思うと、
クレープを持っている方の手を引っ張られ
気づいた時にはAの口の中に

｢ちょっ、お前食べすぎ！｣って言っても

｢慎がいいって言ったんだからね！｣って都合のいいことばっか

｢じゃあ俺も｣って言って、
Aの手を自分の口元まで持ってきて1口食べた

A｢あ～！慎～！！｣

慎｢ははっ、お前むきになりすぎ笑｣

やっぱりAは笑ってないとらしくない