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図書室にて ページ1

その日は久々の大雨が降っていた

「マジでだりぃ…

しかも、傘持ってきてねぇし…」

万里は、MANKAIカンパニーの寮に帰ろうとしていた時に大雨が降ってきて

雨がもう少し少量になるまでもう一度自分の教室に戻ろうと足を運んでいた

「天気予報見てくりゃよかったなぁ…」

窓の外から聞こえる雨の音に鬱陶しさを感じながら

万里は図書室の前を通り過ぎる

「…あ?」


少し通り過ぎた所で足を止め

後退してドアが開いている図書室の中を覗くと

「…(やべぇ、超美人じゃね)」

図書室の本棚の奥

窓際の読書スペースに設けられた席に

一人、女性が座って静かに本を読んでいた

長い黒髪に、メガネ

姿勢が良くて、本を読んでいるはずなのに目は閉じたままだ

「…(器用だな、寝てんのか)」

もう少し、もう少しだけ近くで

そう思う万里は

無意識に図書室に足を踏み入れていた

少し雨に濡れた上履きが

床に着けばト、と小さな音を静かな図書室に響かせる



「…誰?」

「っ」

小さな音に気付き

女性は目を開けてきょろきょろと周りを見渡す

万里は見えているはずなのに、寝ぼけているのだろうか

しかし、万里は気付いた

「…(あ、目が…ちょい白い?)」

もしかすると、寝ていたのではなく

「え、と…ごめんなさい、声を出してくれると有難いな」


透き通るような声に、はっと万里は思考を戻す

「わりぃ」

「あ、そこにいたんだ」

声のする方向に、彼女は顔を向ける

「えーと…

…こんにちは?」

「…は?」

突拍子な挨拶に万里は気が抜けて

「ふっ」

と、笑ってしまった

「え?え?何か変だった?」

読んでいた本を閉じて机に置き

彼女はあわあわと慌て始める

「い、いや…急だなと思って」

「人に話しかけられたらまず挨拶って言うでしょ?」

「ふっ…そうだな」

「また笑ったー…もう」

万里につられて、彼女も笑みをこぼした

笑った顔は、本を読んでいたときの綺麗な顔と違って

花の様な笑みで、思わず見とれる


「(あ、笑った顔超可愛い…)

あのよ」

「なあに?」

「向かいの席座ってもいいか?

俺雨宿りしてんだよなー」

「フフ、どうぞ」

彼女の許可が下りたので

万里は言った通り向かいの席に腰を下ろす

座った音を耳に通した彼女は会話の続きをする

「貴方も雨宿りなんだ、私もなの」

「そーなんだ」

「お爺ちゃんがね、迎えに来てくれるの待ってるんだ」

「そっか」

ならそれまで一緒にいようと

万里はスマホに目を通した

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紅葉-くれは- - めっちゃいい話しだった…(;д;) (2018年3月25日 0時) (レス) id: 42f83da7c4 (このIDを非表示/違反報告)
ますみすみ(プロフ) - 一言いいですか...。最高でした!!! (2018年3月24日 23時) (レス) id: 43e6e1321d (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - 続き気になります!更新頑張ってください♪ (2017年5月25日 18時) (レス) id: 00707a52c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お嬢(眼鏡野郎) | 作成日時:2017年5月23日 19時

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