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じっ、と何も言わず返事を待つ。
相変わらず硬い表情筋だ、微動だにしない。
嫌なとこばっかり、昔から変わらないんだから。
「 ⋯ Aちゃん 」
『 ん?どうしたの? 』
お互い最早睨み合い状態。
という所で、伊吹君が名前を呼んでくれた。
問いかけるが本人は難しい顔をして黙ったまま。
⋯ どうしたかな。
「 Aちゃんは、さ ⋯ 」
『 うん 』
「 その ⋯ ですね、 」
『 うん、どうした伊吹君 』
中々進まない話に、もう一度問いかける。
え、そんな言い難い???
どんなこと言おうとしてるの、伊吹君。
「 ⋯ 志摩は、相棒? 」
『 ⋯ ? 』
質問の意図が読めず、首を傾げる。
⋯ ん?
伊吹君から見た私は志摩を相棒と認識してないってこと?
えっ、志摩も伊吹君も相棒じゃないの?
組んでいた手を解き、顔を上げて志摩を見る。
完全に呆れ顔、いや助けてよ相棒じゃーん。
「 お前がややこしい言い方するからだろ 」
「 えっ、俺 ?! 」
「 両方 」
『 私?! 』
「 両方! 」
大きな声に続き、大きなため息が車内に響く。
やめろやめろ、車内の運気が下がる。
「 気にすんな、伊吹 」
「 あんなん通常運転だぞ、いつも通り 」
『 あれってどれよ 』
「 ⋯ 全部 」
『 どういうこと!!! 』
ってか人の目見て話しなさい!!!志摩!!!
じっ、と眺めるが合う気が全くしない。
どこ向いてんの、明後日の方向を向くのは辞めなさい!!!
「 べっつにそういうんじゃねぇーの、ただこう、ほら、空気を読もうとさ ⋯ 」
「 出来ないならするな、下手くそ 」
「 下手くそって ⋯ ひどっ! 」
「 バカ2人で話し合っとけよ、俺を巻き込むな 」
『 え〜?むしろ話し合いするべきは志摩でしょ 』
「 うんうん、志摩言葉足らず 」
「 俺はもう何も言わない 」
途中から放棄するなら最初から言うなよ〜。
と、思うが口には出さない。
出したらどうなるかって ⋯ 今夜の月は見れないかもね。
『 って ⋯ 逸らさないでよ、話 』
『 志摩ぁ、ほーら!私の名前!セイ! 』
「 セイ!で言うかバカ 」
『 ホント酷い、私はただ相棒に名前呼ばれたいだけなのに 』
「 そーだよ、名前呼ぶのって大事なコミュニケーションよ 」
「 うるさい、バカ2人 」
2対1になっても言わないって ⋯ どんだけ頑固なの。
じっ、と志摩の目を見ていれば静かに睨み合いが再開する。
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作者名:たなか | 作成日時:2023年12月9日 18時