＃ ３ ページ4
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⋯ ゆっくりと右隣を見る。
ゆづちゃーん？目が合わない。
左隣は ⋯ なに項垂れてるの！陣さん！
前を見れば奥に志摩が見える。
⋯ あっちもあっちで目線は明後日の方向だ。
九重君の隣を通って、志摩の肩を掴む。
『 何やってんだ！志摩ぁ！！！問題児って志摩なの？！ 』
「 やむを得なかったんだよ！！！ 」
『 廃車にしないとやむを得ないってなに？！ 』
はぁ〜！と盛大なため息をつき、額に手を当たる。
何なの、久しぶりの再会なのにため息しか出ない。
『 九重君ごめん、前言撤回 ⋯ 優秀“だった”、仰る通りで 』
「 おい、 」
九重君のところまで戻り深々と頭を下げると、頭を軽く叩かれた。
顔をあげれば、怒ったようなよく分からない顔をした志摩。
もう一から百まで全部志摩が悪いこれ。
『 真実です、一未さん、認めましょう 』
「 お前に言われると腹立つな 」
『 良いじゃん、“過去形”コンビ 』
「 なんだその不名誉なコンビ、解散だよ解散 」
『 そうですか、今までどうもありがとう 』
「 本当に腹立つな、お前 」
頭をグリグリとやられ、わーなんて声を上げる。
と、パッと痛みが無くなった。
「 ⋯ 初めまして、伊吹藍です 」
「 同じ404号車です、よろしくお願いします 」
顔をあげれば、志摩の両手を持ち横から顔を出した伊吹で。
飲み込めない状況に瞬きを数度繰り返す。
あ、この人が志摩止めてくれたのか。
⋯ えっ、伊吹ってさっきのガラ悪い人だよね？
「 っふふ、めっちゃ瞬きすんね 」
「 タイミングミスっちゃったかなぁ 」
サングラスの奥に見える目が細まる。
さっきの人とは同一人物とは思えないほど穏やかな声色。
「 名前、もう知ってるけど教えて貰ってもいいデスカ 」
首を傾げ問いかける彼の姿に未だ脳の処理は追いつかない。
が、流石に ⋯ と体勢を直す。
『 ⋯ 伊咲、Aです 』
「 伊咲さん、よろしくお願いします ⋯ あっ、俺機捜初めてなんで、色々教えて下さい 」
ぺこっと軽く頭を下げる彼は ⋯ 真面目、だ。
丁寧な挨拶、私の方がたどたどしいくらい。
訳が分からず、ちらりと志摩の方を見る。
目が合うと、ため息を一つ零す。
「 もう一人いるって隊長から聞いただろ？ 」
『 聞いた ⋯ 』
「 それだよ、自分でも名乗ってたけど伊吹な 」
『 伊吹 ⋯ 君 』
「 よろしくね 」
『 ⋯ よろしく、お願いします 』
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作者名：たなか | 作成日時：2023年12月9日 18時
