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「 あっ、安全って言えなくなってきたな 」
「 まじか ⋯ 」
「 検問だ 」
『 ⋯ 何か動きは? 』
検問なんて、隠れてるのがバレたら終わり。
絶対に動く、問題はそれがどう動くか。
変な行動起こさなきゃだけど。
「 あ〜 ⋯ やっぱ乗ってる!ねぇ、ちょっと無線送る? 」
『 間に合わない、かえって不自然になっちゃう 』
「 すぐ出られるよう待機 」
何事もなければいいけど ⋯ 。
見守るだけしかできない状況が酷く悔しい。
祈るようにして待つが、伊吹君も落ち着かない様子で。
「 ねぇ、行く?行かない?行く? 」
「 落ち着け 」 『 落ち着いて 』
「 行かない?行きたい!ねぇ!! 」
「 落ち着け 」 『 落ち着いて 』
「 あっ、終わった 」
思いの外早く終わった検問に胸を撫で下ろす。
何もなかった ⋯ 一先ずは安心だ。
警官が順番通りこちらに来る。
「 前の車、容疑者のってたよ 」
「 え? 」
「 すいません、機捜ですちょっと急いでて 」
「 あの後部座席の黄緑の男 」
「 いえ、息子さんでした 」
⋯ 息子さん?
いやいやいや、じゃあ隠れてる意味が分からない。
奥で話を聞いているだけなのが、耐えきれず身を乗り出す。
志摩に頭を押えられ、大人しく警官の話を聞く。
「 ⋯ すいません、ありがとうございました 」
「 いえ、ご苦労さまです 」
話が終わり、もう一度情報を整理する。
名前、生年月日 ⋯ しかも写真まで出したらしい。
人質が協力してる、か、脅し。
「 う〜ん ⋯ いや、俺はそれでも犯人だと思うんだけどな 」
ここからは志摩の判断次第。
ちらっ、と志摩を見れば ⋯ ただ視線は真っ直ぐ。
志摩から目を離し席へ戻る。
「 だから、行くぞ、早く出せ、見失う 」
「 ⋯ ! いいねぇ〜 」
志摩の了承も得て、とりあえず追尾再開 ⋯ って。
『 ねっ志摩、これ連絡いる感じ? 』
「 ⋯ 東京、出ちゃうな 」
『 でしょでしょ 』
「 えっ、出たらだめなの? 」
『 それがだめなのよ 』
「 機捜404から1機捜本部、国道15号で神奈川へ入る 」
「 捜査共助科への報告と通信情報部への広域通信リンク依頼を願いたい 」
そっそっ、この面倒くさいのが必要って訳だ。
今日、助手席じゃなくてよかった。
なんて呑気に考えていると、右ポケットから振動が。
あっ、陣さんからだ。
何か進展でも ⋯ ってそれなら電話するか。
な〜にかな。
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作者名:たなか | 作成日時:2023年12月9日 18時