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アムールの書店で予約した本を受け取った時、職員の表情が引きつった。どうしたんだと振り返ると、そこには、青ざめた表情の男が一人。

 拳銃をかかげ、叫ぶ。

「テメェらがァッ!! おれの生き方を邪魔するがらッ、だめなぁんだァ!!!!」

 バッと前を開け放ったジャケットの中には、数多くの爆弾がぎっしりと敷き詰められていた。配線が毛細血管のようにジャケット内を蔓延っている。男の背後には、数名のスーツ姿の男性が駆けつけてきていた。

「お゛れは屈じない!!! テメェらがぃんだがァあ※@*#亜gr%$%&*」

 後半の声は聞き取れたものでは無かった。周囲が異物を見る目で男を見る。傍にいた女性が、子供を自分の方に引き寄せて目に憐れみと侮辱の色を含んだ時。

 横から現れた太い腕に、Aは一瞬で攫われる。体が飛んだ。強い衝撃と、タバコの匂い。回転する視界に店員の驚いた表情が映る。

 次の瞬間、何が起こったのかわからなくなった。


 床に叩きつけられるより先に、耳を擘く爆音。頬をかすめる熱風。誰かが自分を抱きしめているらしい。転がる感覚はあるが、目を瞑っているためどうなっているかわからない。

雷が同時に三つは落ちたのではないかと思える程の音が止み、体の節々のビリビリとした痛みが動けるまで落ち着くと、やっと目を開けるようになった。


 そろそろと目を開く。しぱしぱする視界に映ったものは、驚異的な現場だった。燻った匂いが周りに立ち込め、周りには燃え盛る本や本棚。人の手足、頭、胴体。
 自分を抱えていたのだろう男性を見下ろす。床で気を失っているらしい。胸の起伏は確認できた。男性はスラックスにグレーのニット。ネイビーのジャケットを羽織っていた。

 ジャケットの胸元から何かが見える。
Aは助けてくれた男性を助けるべく、身元確認をするためその小さな手帳を引き抜いた。

「あ」

 警察手帳。顔写真の下に書かれた、役職と地位、そして名前。

「ナツメ ケイ」

 名前を呼んだ瞬間、男の目がバチりと開く。

「あ」
「あ」

 数秒、世界が止まった。

「君、それを」
「見ました。すみません。その、状況が状況で」
「うん…………うんうん。そうだよね、そうだよなあ」

 起き上がって周囲を見た男に、Aは警察手帳を返した。男の頭から、だらりと血が流れた。

「血が」
「構わない。頭の傷は派手に見える。それより、オレは君を殺さなくてはいけなくなったかもしれない」

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◎たなは◎(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます…………告白されてしまった(違う) (2018年5月14日 6時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - すきです………(すきです) (2018年5月14日 0時) (レス) id: f18f805e19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2018年5月13日 18時

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