降谷デスク ページ14
「降谷君!!!」
昼休憩に吉野家の牛丼を咀嚼していた降谷のところへ転がり込んできたのは、焦り顔の赤井秀一。降谷はテイクアウト用の発泡スチロール容器の内側でニヤニヤと笑った。やっと気づいたか。
「Aがいない!」
ほれみろ。
降谷は嚥下すると、背後にいた風見に「言ってなかったのか」とわざとらしく言うと、風見の表情がげんなりする。
降谷のデスクに赤井が手をついて吠えた。
「どこへ行ったか知っているんだろう」
「何を慌ててるんです。壬生なら今日は休みです」
「休み?」
降谷は喉の奥からせり上がってくる嘲笑をお茶で飲み込んでから、安堵する赤井を見上げた。
「このところコ……連勤続きでしたからね。今頃休暇を楽しんでいる頃でしょう。聞いてなかったんですか、本人から。
「それが、まだ避けられていてな。仕事中は公私混同しないタイプだろう、Aは」
「ていうか、仕事してない時なんて最近ありませんでしたね、あいつ」
お前のせいだけど! とは言わないが内心で降谷はナイアガラの滝の上から下にいる赤井を指差し、腹抱えて笑っている。ザマァ見ろ! そんな心情を知っている風見に背後から「なんて大人気ない人なんだ」と見られていることを知らない降谷零、アラサー。
「まあでも、仕事はある程度片付けたらしいので休暇明けには会えるんじゃないですか」
「そうだな」
「ちゃんと時間とって謝った方がいいですよ」
「そのつもりだ。むしろ今からでもいい。どこにいる」
「そんなことは知りませんって」
「電話もメールもダメなんだ。受け付けてくれない」
そりゃ空の上ですからね。フロア内の誰もが一斉に心の中で叫んだだろう。絶対壬生班の奴らが声を張り上げている。
「相当ですね。ま、頑張ってくださいよ。僕は他人のそういうことには興味ないんで」
牛丼を再度手にした降谷に、赤井がしょぼくれてフロアを後にする。すれ違いざまに足取り軽い壬生の上司が入ってきた。片手にタブレットが握られている。
「おーう降谷。壬生無事にアメリカ着いたってよ。フェイスタイムだぞほれ」
目の前に来た画面と、視界の端で必死に逆戻りしてくる赤井。流石の降谷も口の中の米を吹いた。
『汚ったな…………』
海の向こうの人間に呆れられた。
ワシントン・ダレス国際空港ターミナル→←成田国際空港第1ターミナル
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名無し - 中途半端な終わり方で残念 (2020年11月29日 4時) (レス) id: 00f63b334e (このIDを非表示/違反報告)
kyouka(プロフ) - こちらはもう更新されないのでしょうか?面白かったので楽しみにしていたのですが、もうずっと更新されないまま他作品を始めてしまわれたみたいなので…できればまた再開してほしいです。お待ちしてますm(_ _)m (2018年9月8日 1時) (レス) id: 5e916ee117 (このIDを非表示/違反報告)
ドリィ(プロフ) - ◎たなは◎さんの書く赤井さんシリーズ大好きです!いつも楽しく読ませて頂いています。勿論、「ぼくたち無能なので。」も読んでます!更新が止まっているので、心配してます。無理せず頑張ってくださいね!これからも楽しみしてます。 (2018年7月5日 23時) (レス) id: 3c15da6a86 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - つばささん» 初めましてたなはです。私はつばささんのコメントを見てニコニコが止まりません。嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年6月23日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - れおさん» ありがとうございます。笑いをお届けできて嬉しいです。更新お待たせしてしまいすみません。これからもどうぞよろしくお願いします! (2018年6月23日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:◎たなは◎ | 作成日時:2018年5月20日 9時