お弁当は昨晩の残り物をどうアレンジするかが勝負 ページ9
綺麗な翡翠がパチパチと瞬きを繰り返し、風見とサンドイッチを見比べる。ムグムグと咀嚼を終え、飲み込むと、赤井は風見の肩をバシバシと叩いた。
「これ君が作ったのか！？」
「いえ。妹が」
そこでふと、思い出す。
「そういえば先日はありがとうございました」
赤井は首を傾げた。
「何かしたかな」
「花束を。円堂A。妹なんです」
「あぁ、そうだったのか」
「随分喜んでいました。あいつの部屋の至る所に花が飾ってありますよ」
「はは、それはまた嬉しいことだな。真純…………ああ、俺の妹なんだが、真純からよく話を聞くんだ。真純も東都大でね」
「あぁ、もしかして、花束の動画を撮っていた？」
「そうだ。あの動画、見たのか」
「見ました。妹の成長に思わず涙ぐみそうに……」
「ハハハ！ だが、俺もよくある。最近までチビだったのにな、なんてね。なあ風見君、そっちの梅の方も気になる」
「どうぞどうぞ」
「君の妹は料理が上手い。これ、いくらでも食べられるぞ」
「伝えておきます」
「あぁ、そうしてくれ」
赤井は頷くと、
「サンドイッチのお礼に、とは何だがコーヒーを淹れてこよう」
と言って給湯室へと足早に消えて行ってしまった。入れ違いで、フロアに降谷が入ってくる。風見は最後の一切れを口に運び、空になったタッパー二つに蓋をして手早くデスクの上を片付けた。
「お疲れ。珍しいな、弁当か」
「はい。降谷さんは昼食、何か食べましたか。買ってきましょうか？」
「いや、いい。すぐに外へ出る。出先で何か食べる」
「そうですか。イイジマの件、所轄に送っておきました。改めた返信は3日後までにと伝えてありますので、今週末には届くかと」
「わかった。昼食中にすまないな」
「いえ」
書類をデスクに置いてあるファイルにファイリングし、データをパソコンに移すと、降谷は言葉通りすぐにフロアを出て行ってしまった。
降谷がフロアを出てすぐ、給湯室から出てきた赤井が風見にカップを手渡す。
「降谷君は相変わらず忙しそうだ」
ホットコーヒーがカップを持った指先を温める。赤井が、突っ立ったままの風見の横でズズ、とコーヒーをすすり、
「仕事に戻る。ボスの番犬に噛みつかれる前にな」
と、風見の手にチョコレートを二粒残して去って行った。
風見はチョコレートを見下ろして思う。妹が住むあの家の現在の光景を、降谷が見たらなんと言うだろう。そして、俺は何と説明したらいいのだろう、と。
続く
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◎たなは◎(プロフ) - cです。さん» 今回は赤井さんの登場がちらほらと出てきますので是非ごゆるりとお付き合いくださいませ！（降谷さんの心は治安悪化しているようですが笑） (2019年11月29日 18時) (
レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
cです。 - 最高です。お馴染みの飯テロに加え、今回は赤井秀一の登場しかもラナンキュラスいろんな意味で最高です。大好きです。これからも応援しています。 (2019年11月29日 1時) (レス) id: 1509f3e8ae (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - ありまさん» 気づいてくださり、ありがとうございます！！ タイトルと本編では大した意味はありませんが、間違いなく前作から読んでいただいても今作からでも「そりゃ喧嘩するよね」となると思います。二人の関係性が曖昧すぎますからね……（誰のせい）（私） (2019年11月27日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
◎たなは◎(プロフ) - 柑橘さん» 私も良い感じにかっこつけられない降谷さん大好きです。とても愛おしい笑 穏やかな更新になりますが、どうぞお付き合いくださいませ！ (2019年11月27日 22時) (レス) id: b9c1cce9d4 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - 最初はなんだこのタイトルは？と思いましたが、気づいてしまいました…これはすごい。 (2019年11月26日 17時) (レス) id: 827fe84146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：◎たなは◎
| 作成日時：2019年11月26日 1時
