【名探偵コナン】私も「どんな関係？」と問い、ケンカ何度もしたわ。【降谷零】

二、肉から臭みを消す方法は色々あるけれど、味を消すには会話が一番 ページ4

昼のレストランは微かに賑わっていた。軽やかな談笑があちらこちらから聞こえ、その中にはちらほらと子供の声も混じっている。騒がしくなく、ディナーほど落ち着いてもいない。穏やかな昼。手元に置かれたグラスで風見は店内を見回した。

　グラスで対象の人物に動きがないことを確認した風見は、目の前に座る人物をちらりと見た。突然ランチに巻き込まれたにも関わらず二つ返事で快諾したその人を、風見は前々から、食べ方が綺麗だと思っていた。

　箸の使い方から魚の食べ方、口の動かし方や食器の扱い。姿勢も良く、見ていて落ち着く食べ方だった。どこへ連れて行っても恥ずかしくない、誘いやすい人間でもある。
　かと言って、ラーメンやうどんなどをチマチマ数本箸でつまんで音を立てずに食べる、という事もない。ラーメンやうどんや蕎麦はズバズバ啜るし、逆にパスタは面白いくらいクルクルと上手く巻ける。

　目の前でナイフとフォークを操る妹、円堂Aは風見の視線に気がついたのか、食器に下ろしていた視線をふっと上げた。

「ん？」

　鼻から抜ける、疑問の声に風見は小さく首を振る。風見のフォークにはアボカドが刺さったまま、口に入るのをまだかまだかと皿の上で待ちわびていた。眼前で華奢で肉の薄い指先が、その手には重そうなカトラリーを動かしているのを見ながら、風見はアボカドを口に運んだ。

「前ね、園子の誕生日会に呼ばれたの」
「あぁ。彼女、元気にしているのか？」
「相変わらずね。大学に入ってデートの回数が増えたみたいで、よく写真を見せびらかされる」
「あぁ、確か彼氏は空手で有名だったな。シンガポールで随分酷い怪我をしていたようだが、あれからは？」

　風見の視線はグラスと円堂を行ったり来たりしている。円堂もわかっていて同伴しているため、それにとやかく言うことなく、静かに話を続けた。

「今はもう傷一つ残ってないって」
「そうか、良かった。それで、誕生日会が？」
「そう、盛大な会は誕生日当日にやったんだけど、別日に仲間内だけでパーティーをしたの。ホテルの個室でね」
「へぇ」

　失礼致します、とスタッフが空いた皿を片付けてスープを置いていく。

「園子と京極君と、蘭と工藤君と。あと真純と私」
「マスミ？」
「そ。世良真純」
「あぁ、思い出した」
「パーティーは面白おかしく終わったんだけど、帰りね」

　風見はハーブポタージュをスプーンで掬った。

「お兄さんがお迎えに来たの」

肉から臭みを消す方法は色々あるけれど、味を消すには会話が一番→←こっちとしては不本意だけど、うどん的には本望

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