【名探偵コナン】私も「どんな関係？」と問い、ケンカ何度もしたわ。【降谷零】

三、お弁当は昨晩の残り物をどうアレンジするかが勝負 ページ7

昼飯は大概、左手に箸を持ち右手はマウスに置いておく。上司からは怒られる食べ方だが、風見は大して食に興味が無く、元々腹が膨れれば良いくらいにしか思っていなかった。今も基本的にはその気持ちは薄れておらず、風見含め彼ら警察官のデスク島では「よくある」「いつも」の光景であった。


　さて、しかし今日の風見は違った。相変らず賑わうデスク島だが、今の時間は昼休憩を取りに外出したり、一服しに席を外す者がいたりと、ちらほらデスクが空いていた。風見の両隣も外回りと昼食に出たのか、空いている。
　風見は一人、楽しそうにデスク下段にある引き出しから紙袋を取り出した。大きさは大したものではないが、それを風見はいそいそと引き出しから取り出すと、紙袋から布巾に包まれた小さな箱のようなものを取り出した。

　お弁当である。

　小さく箱の上で結ばれたちりめん布をさらりと解くと、タッパーが二つ重なって現れた。
上段には、色とりどりの野菜。ほうれん草のおひたし、パプリカとエリンギの油炒め、卵焼き、プチトマト、かぼちゃとブロッコリーの甘辛煮…………これらが、キュッと身を寄せ合って詰められている。
　下が飯かな、と風見は下段のタッパーを開けて、思わずデスクの下で小さなガッツポーズを繰り出した。

　ヒレカツサンド。

　昨日の夜は直帰を許可されていた。要件が済んだのは自宅よりも妹である円堂の住む家の近くだったため、彼女の家に泊まったのだ。「今から行く。泊まる」という一報を入れた時点で22時を回っており、家に着いたころ彼女は風呂上がりの濡れた髪のまま玄関で「さっきメール見たの」とあくびをしていた。

　で、その家に入った時点で気がついたのは、この時間まで回り続けている換気扇と、まだ薄く残る油の匂い。

『揚げ物でもしたのか？』
『ご名答。あと3時間早く帰ってきたら揚げたてのヒレカツが食べられたのに。お仕事お疲れ様です。ご飯は？』
『残念ながら食ってきた』
『お風呂沸いているからそのまま入ってきたら』
『そうする』

　というような会話をしたのだ。その後風見が風呂から上がると、妹は課題でも片付けていたのだろう、パソコンを目の前にして寝落ちしていた。風見は妹を抱えて寝床に運び、自分も隣の部屋で寝てしまった。

　朝食は妹が手早く作った野菜スープを飲んで、「これ、お弁当。食べられるならお食べなさいな」と言われ持たされた紙袋をさっさと受け取って足早に家を出てきた。

お弁当は昨晩の残り物をどうアレンジするかが勝負→←肉から臭みを消す方法は色々あるけれど、味を消すには会話が一番

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