26 違和感 ページ26
side A
あぁ、絶対に怒られるんだろうなぁ。
いつにもなく重い足取りでフロアに入る。
同僚の方とすれ違うことですらびくびくしてしまう。
『係長、昨日は急に休みを取ってしまい申し訳ありませんでした。』
取り敢えず一番に係長のデスクへ行って、昨日何度も練習した言葉と共に頭を下げた。
「そうか。」
係長が私に向けて発した言葉はそれだけだった。
その後、他の人に話しかけて私との会話は終わった。
え、これで終わり？
また無能だの何だのと言われると思って身構えていた感情は、行き場がなくなり不安へと変わる。
もしかして、見放された、？
今までは目についてウザかったから色々言われていただけで、もう存在すら視界に入れて貰えなくなったの？
それからの係長は、私に対して簡潔な反応しかしてこなくなった。他の人には今まで通りにしているのに、私だけ。
訳も分からぬまま仕事は終わり、珍しく定時過ぎに仕事を終える事ができた。
『お疲れ様でした』
帰ろうとした時、
「あ、黒崎さん、ちょっといいかな？」
私を呼び止めたのは、隣の部署の西尾さんだった。
西尾さんは見た目よし中身よし仕事力よしの完璧人間だ。男にも女にも人気で、もちろん係長も気に入られていてセクハラまがいの事もされている。
まあ西尾さん本人はショッピさんが好きという噂があるけど。
「もしよかったら、今日ご飯行かないっ？」
個人で話したのは数回程度だからそんな親しい仲じゃないけど、断る理由もない。多分話したい事があるんだろうな。
『もちろん、是非行きたいな』
"笑う" のは得意だから、少しでも愛想良く見えるよいに返事をする。
煙草を吸う時の自分とは正反対だな。
西尾さんに連れられてやってきたのは、お洒落なフレンチ、などではなくよくあるおばんざいのお店だった。
「ごめんね、お洒落なとこってやっぱり入りづらくって…でもここのご飯凄く美味しいんだ〜」
あぁ、こういう取っ付きやすいところに惹かれるんだろうな。
お互いに注文をすると2人の間に沈黙が流れた。
なんで私を呼び止めたかを聞こうとしたとき、彼女は口を開いた。
「私ね、ショッピ君が好きなんだぁ。」
少し恥ずかしそうにしている西尾さんは、とても可愛かった。
恋する顔って女の子をこんなに可愛くさせるのか。
私がシャオくんの事でこんな顔してたのは、いつくらいまでだったんだろう…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
田那(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさんありがとうございます…！めちゃめちゃ励みになります！ほんま感謝しかありません。がんばります！ (2020年5月24日 12時) (
レス) id: f75390a3fa (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫ですよ！都合もありますし、筆が進まないこともありますでしょうし…。読み返しもできます！なので無理のないよう、自分を追い込まないよう頑張ってください！ (2020年5月24日 6時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
田那(プロフ) - くうさん» くーちゃんありがとう。遅くなってごめん！そう言ってもらえるととても有り難い…！頑張るね！ (2019年8月5日 22時) (レス) id: 93fd3d14e4 (このIDを非表示/違反報告)
田那(プロフ) - ヨシフさんコメントありがとうございます。返信遅れてしまいすみません。とても嬉しいです！頑張ります！ (2019年8月5日 22時) (レス) id: 93fd3d14e4 (このIDを非表示/違反報告)
くう(プロフ) - ﾝﾝﾝﾝすき……自分のペースでええからね……浮かんでこーへん時ってあるよね……また待ってる……… (2019年5月8日 23時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
