22 ぐちゃぐちゃ ページ22
side A
何本目かわからない煙草を取り出し、ライターを持つ。
真冬ではないとはいえ２月の末、文字通り頭は冷えた。
でも、煙草をやめないといけないという頭が上手く働かない。
ゆっくりと紫煙を吐き出した時、アパートの下の方に向けていた視界に一人の人影が入った。
『……シャオ、くん、？』
その人影がシャオくんだと理解した途端に、灰皿に煙草を押し付け部屋に逃げ込んだ。
A、と名前を呼ばれた気がした。
うそ、伝えたのはついさっきのはず……っ、もう1時間も経ってる………
逃げてきて、しまった。
きっと、きっと、シャオくんは部屋まで訪ねてくる。
どうしたら………
___ピーンポーン
無機質なチャイムの音が、部屋に響いた。
ああ、部屋の前まで来てしまった。
私がこの部屋にいることはもうバレている。
しかし、ドアは開かれない。
音を立てないようドアに近づくと、チャラッと金属同士のぶつかる音がした。
合鍵……でも、なんとなく彼は鍵を使わない、いや、使えないような気がした。
案の定ドアが開かれる気配はない。
だけどシャオくんのことだから、きっと私がドアのすぐそばにいることは分かっているのだろう。
できる事ならば、なにも気づいていないふりで帰ってほしい。
「A、そこにおるんやろ、？」
……っ、久しぶりのシャオくんの声だ。
電話じゃなく、壁を通り越して僅か数センチの距離で聞いた彼の声は、酷く弱々しい。
その原因が自分だと思うと、
『………ごめん、シャオくん』
いつもと同じ、薄っぺらい謝罪の言葉しか出てこなかった。
係長の言った通りだ。
「…それは、拒絶なん？」
『ちがっ、違う、違うの……』
一度堕ちると思考はうまく働いてくれない。
「でも、でてこーへんってことはやっぱり辞めにしたいってことやろ？」
『そ、れは、……』
動揺した頭は誤魔化すという事すらも考えられずに気まずさすら口に出してしまう。
___しまった、
そう思ったときにはもう遅い。
彼を、悲しい気持ちにさせたくない。失望させたくない。
でも、嫌いになって欲しい。失望して欲しい。
「一つ、一つだけ聞いてええか？本心で答えて欲しい。
Aは、俺のことを嫌いになったん？」
ほら、絶好のチャンスだ。
彼に、シャオくんに嫌ってもらうんだ。
今しかない。
今しかないのに、
『そんなこと、あるわけない。嫌いになれるはずなんてないよ…』
.
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田那(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさんありがとうございます…！めちゃめちゃ励みになります！ほんま感謝しかありません。がんばります！ (2020年5月24日 12時) (
レス) id: f75390a3fa (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - ゆっくりでも大丈夫ですよ！都合もありますし、筆が進まないこともありますでしょうし…。読み返しもできます！なので無理のないよう、自分を追い込まないよう頑張ってください！ (2020年5月24日 6時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
田那(プロフ) - くうさん» くーちゃんありがとう。遅くなってごめん！そう言ってもらえるととても有り難い…！頑張るね！ (2019年8月5日 22時) (レス) id: 93fd3d14e4 (このIDを非表示/違反報告)
田那(プロフ) - ヨシフさんコメントありがとうございます。返信遅れてしまいすみません。とても嬉しいです！頑張ります！ (2019年8月5日 22時) (レス) id: 93fd3d14e4 (このIDを非表示/違反報告)
くう(プロフ) - ﾝﾝﾝﾝすき……自分のペースでええからね……浮かんでこーへん時ってあるよね……また待ってる……… (2019年5月8日 23時) (レス) id: 295f716bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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