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「マンゴーあるやん〜、
でも練乳抹茶小豆も外せんしぃ……沖ちゃんは何がええ？」
吊り旗のお店は民家を改造したような小さなカフェで、
暑い時期だけかき氷も売っているらしかった。
お店の前の小さな黒板に書かれたメニューを見ながら、
先輩が嬉しそうに訊いてくる。
「イチゴかレモンで迷ってます」
「ふふっ、オーソドックス〜！」
「シンプルイズベストですから。笑」
「もしや、練乳もかけたことない？」
「ないです」
「練乳め〜っちゃ美味しいのにもったいな〜」
結局先輩は練乳抹茶小豆、私はレモンに決めて中に入ると、
店内は涼しくて気持ちが良かった。
2人掛けのテーブル席に向かい合って座ると、先輩は制服のネクタイを少し緩める。
そのときの気だるげな表情にちょっとだけドキッとした。
さっきまでかき氷にはしゃいでいた人とは別人みたいだった。
「外あっつかった〜……溶けるかと思った」
そう言った先輩は、お水を持ってきてくれた店員のお姉さんに
「どうも〜」と愛想よく言って、
彼女がテーブルを後にすると間もなく音もなくお水を一気飲みした。
それからふわりと欠伸をして、「暑いと眠くなるよね…」とつぶやく。
そんなところは幼い子どものようでかわいらしい。
やっぱり大人びていたり子どもみたいだったり、不思議な人だ。
「あ、せや。連絡先交換しよ！」
先輩はそう言って、グレーのズボンのポケットからスマホを取り出す。
先輩に倣って私もバッグの外ポケットのスマホに手を伸ばす。
自分でも、その手が少し震えているのが分かる。
緊張してるんだ。誰かと、こんなに短時間で距離を詰めたのが初めてだったから。
先輩の出したQRコードを読み込むと、
まもなくスマホの振動とともに
「紫耀」という名前と眠っている仔猫のプロフィール画像が受信される。
連絡先を交換し終えると、
ちょうど店員さんがかき氷を運んできたけれど
思ったよりサイズの大きくて、2人で顔を見合わせて苦笑した。
──────────
2020年7月9日(木)
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夜木(プロフ) - こぐまさん» ありがとうございます！私の-S.Hirano-作品は完結した試しがないですが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです……(^^;; (2020年7月8日 19時) (
レス) id: 3ad168143d (このIDを非表示/違反報告)
こぐま(プロフ) - 新作〜♪楽しみにしてます！！ (2020年7月7日 23時) (レス) id: 0a8e78817c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜木 | 作成日時：2020年7月7日 23時
