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家に帰ってから送った
「今日はありがとうございました。楽しかったです！」
というメッセージには、次の日「こちらこそ！」と返信が来た。
すごく嬉しかったけど、それ以上は何も返さなかった。
次の日から早速始まった平常授業は、
暑いのと夏休みで体力が落ちたのとで
いつも以上にエネルギーを奪っていくようだった。
お昼休みにお弁当を食べると、
午後の授業は眠気に耐えるのに精いっぱいで。
4限目の数学の授業は、
板書を写しながら頭はほとんど働いていないぐらいだった。
うとうと、と夢の世界へ半分沈みかけた意識の中に
秋風とともに流れてきたのは、グランドピアノの音色。
クラシックでも、ジャズでもない。
だからと言って最近流行りのポピュラー音楽でもなさそうなその曲は、
派手なメロディでもないし、
技巧的なタッチが用いられているわけでもなかった。
けれど、心に強く、響いた。
同じメロディが何度も転調しながら続いていく。
寂しげなのに、どこかあたたかみを感じるメロディ。繊細なタッチ。
こんな素敵なピアノを弾いている人は誰なのだろうと、気になった。
私たち1年生の校舎からこのボリュームで聴こえるから、
きっと向かいの校舎の1つ上の階にある第2音楽室からだ。
授業終了のチャイムが鳴って、挨拶をしてから
私は階段を駆け上がって、向かいの校舎への渡り廊下を駆け抜けた。
第2音楽室の前まで来て、閉じたドアの前で立ち止まる。
メロディは途切れることなく続いていた。
……私は何をしているんだろう、とそこで突然我に返った。
ドアを開けて、このピアノを弾いている人と会って、どうするつもりだったんだろう。
そう思うのに教室に戻ることも出来ず、
かと言ってドアを開けることも出来ずにいるうちに、演奏が終わっていた。
5限の授業が始まる前に、教室に戻らなきゃ……
そう思って音楽室に背を向けて歩き出したところで、
「沖ちゃん？」
と後ろから呼び止めてきたのは、先輩のやさしげなハスキーボイスだった。
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夜木(プロフ) - こぐまさん» ありがとうございます！私の-S.Hirano-作品は完結した試しがないですが、温かい目で見守っていただけると嬉しいです……(^^;; (2020年7月8日 19時) (
レス) id: 3ad168143d (このIDを非表示/違反報告)
こぐま(プロフ) - 新作〜♪楽しみにしてます！！ (2020年7月7日 23時) (レス) id: 0a8e78817c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜木 | 作成日時：2020年7月7日 23時
