46話（最終話） ページ48
あれ以来鬱先生は私に引っ付くようになった。
もうそれはすごい勢いで…。
終いにはエミさんにすら｢鬱先生女の子の扱い下手になったんちゃう？｣と笑われる始末だ。
｢…鬱先生｣
鬱｢んー？｣
｢離れてくれません？｣
鬱｢嫌や。｣
トントンさんの書類を手伝っていた日。
彼は私の首に腕を回しギューっと抱きついていた。
鬱先生、こういう人だったかな…。とか考えてしまう。
｢書きにくいんです…｣
鬱｢……Aちゃん。僕のことどう思っとる？｣
｢邪魔です｣
鬱｢ちゅめたい！！｣
女の子の扱いに慣れてて、最初は飄々としてた癖に最近は弱々しいからしか見なくなった。
まるで親から拒まれた子供のように。
私はため息を一つ吐く。
｢うーん…。鬱先生、どうしました。｣
鬱｢え、何が？｣
｢昔みたいな余裕さも飄々とした感じも何もかもなくなってますよ。鬱先生らしくないです。そんな鬱先生は私は嫌いです。｣
鬱｢え…｣
まるで初恋の中学生のように。
勇気を出せないでいる鬱先生。
気がついてますか？
蝉は上を向き始めています。
残った子達もまもなく降参するでしょう。
ほらいつもみたいに。
ヘラヘラ笑って。
それでいてふと真面目な顔に戻って言ってくれないと。
鬱｢…はは、せやな。ほんまやな…。
情けないわ自分。｣
｢鬱先生…｣
鬱｢こんなんやったら、見放されるわな。｣
｢そうですね。｣
鬱｢Aちゃん。｣
ほら。
その顔を待ってました。
嬉しくて少し微笑むと、彼も微笑み返してくれた。
暖かい手が頬に添えられる。
昼間なのに少しずつ暗くなる視界。
暖かいそれは口に触れると特徴的な音を鳴らして離れた。
顔に一気に熱が集まるのを感じた。
｢っ……。慣れてますね、やっぱり｣
鬱｢せやろ？なかなかのもんやろ。｣
｢一体何人の子を落としてきたんですかね…｣
鬱｢本命は落とせてへんのにな…。
なぁAちゃん。
好きや。誰よりも一番愛してる｣
その言葉を待っていた。
今度は嬉しさが涙となって溢れた。
少し慌てる鬱先生は｢泣き虫さんやなぁ｣と笑った。
鬱｢んで、Aちゃんは？｣
素直に好きと伝えても良いのだが…
彼のこの顔が見たかった癖にしたり顔をされるのも悔しくて。
私は彼の赤いネクタイを強く引いた。
鬱｢うぇ…！？んっ…｣
｢っ…これが答えです｣
鬱｢っ〜！！もぉ…Aちゃんほんまカッコええわ…｣
悪戯っぽく悪うと彼は赤面する。
長い夏が終わり、春が芽生えた。
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雨々(プロフ) - あんこさん» あんこ様。ご指摘ありがとうございます！訂正させていただきます…。大変失礼致しました。 (2019年5月20日 1時) (
レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - あのぅ、9話のアイフォート、じゃなくて、アイホートじゃないですか？ (違ったらすみません) (2019年5月19日 22時) (レス) id: 9d9eb47659 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 桜猫さん» ありがとうございます！！やはり鬱先生にはその気質があるように思えるのです…。これから番外編でもそんな感じの先生を書いて行きたいな…と考えておりますw (2019年4月10日 23時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 完結おめでとうございます！関係ないですけどMな鬱先生にピーーをしてから<自主規制>して<自主規制>にｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞして真っ赤な顔にピーした…おっと誰か来たようだ (2019年4月10日 23時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 琴葉さん» ありがとうございます！！グダグダの文章で読みにくくてすみませんでした…！ファン！？ありがとうございます！！泣 (2019年4月10日 22時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪
| 作成日時：2019年4月5日 15時
