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笑顔の秘密【wato】 ページ11

拠点から少し離れた湖のほとり
そこにブロックを高めに積んで座る人影があった。

「……。」

空の満月はやや東にあり、少しずつ登っていた。
悩み事があるといつもここに来てしまう。
ここはいい…。
誰もいなくて静かだ…。


と、隣からブロックを積む音が聞こえた。
隣を見ると水色のフードがちらりと見えた。


「え、わとさん?」

わ「こんな所で何しとると?」

「……わとさんには、関係ないです」

私のブロックと同じ高さまでブロックを積み終わると、隣に座りこんだ。
キョトンとした顔でこちらを見てくるわとさんに、今度は私が何しているのか聞いてみた。

わ「Aちゃんが夜中に拠点を抜け出したけん、心配して追いかけてきたんよ。
何かあったん?俺でよければ話聞くけん、話してみ」

ニコニコと笑いながら言ってくるわとさん。
いつもならその可愛らしい笑顔を見て機嫌が直っていただろう。
でも、今は逆に少しイラッと来てしまった。


「わとさんは何でいつもそんなに笑っていられるんですか。
嫌な気持ちになる日だってあるでしょう?
でも私はわとさんのそういう顔見たことないです。
なんでわとさんは…」

わ「そんな毎日笑顔でいられる訳ないやろ。」

さっきまでヘラヘラ笑っていたわとさんはどこにいったのか。
急に真面目な顔になりこちらを見て来た。
めったに見られない顔に思わずドキッとする。

わ「……辛い日とか、思ってる以上にあるんよ。
でもな、俺が笑ってなかったら皆が暗くなってしまうけん。だから俺だけでも笑ってなきゃいかんのよ。」

「わとさん…、ホントは泣きたいんですか?」

わとさんは何も言わず、ただ前を向いていた。
皆を暗くさせないよう、いつも笑顔で振舞っていた。
私はわとさんの方を向いて言う。


「わとさん、ここにいるのは私だけです。
そして私が抜け出したのを知ってるのもわとさんだけ。
だから、ここで会ったのは私達2人だけの秘密にしませんか?
時々お互いの弱音を吐いてしまいましょうよ…」

わ「…俺の、弱音…。
聞いてくれるん?幻滅とかせんの?」

「するわけないでしょう。
わとさんこそ、こんな私に幻滅しないんですか?」

わ「するわけなか!
……ちゃんと弱音吐くけん、Aちゃんも弱音吐くんよ?」

「ふふっ…わかりました。
お互いの秘密ですよ。」

わ「当たり前や」


さて、戻ろう。
そういい降りていくわとさん。
空を見れば月はやや西に傾いていた

確信犯【バステン】→←ナンパ願望【赤髪のとも】



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リア - バステンさんやばいですww更新頑張ってください (2018年3月30日 23時) (レス) id: a2c09791be (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨々 | 作成日時:2016年8月31日 0時

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