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Ep.30 ページ32

浮かない顔をした私が気になったのか、彼は私の顔を覗きこんだ。

「…!」

ゾ「ようやっと目が合ったな。
どないしたん。なんかあったん?」

「……大したことじゃないんですけど」

ゾ「ええよ。話してくれへん?」


彼は私と対面するように座る。
どこまで話すべきか…

確信について話してしまえば彼はきっと……




「実は、お見合いの話をされたんです」

ゾ「は…!?え、嘘やろ…。
せえへんよな!?」

「しませんよ。したくないですもん。」

ゾ「……そうかぁ…。」


ふー…とため息をつくゾム様。
何故ゾム様がそこまで気にするのだろう…。


「ゾム様。」

ゾ「ん?なんや?」

「せっかくなので、ゾム様の任務の話聞かせて頂けませんか?
私が行けない任務はどんなことをしているのか」


そう頼むと彼は困ったように笑う。

ゾ「汚い事いっぱいやっとるからなぁ…」

「大丈夫です。私はそんなことでゾム様を批判したりしませんよ。」

ゾ「…せやな。んじゃ、こないだのやつから行くか。」


先日ゾム様が大怪我をして帰ってきたときの話だ。
潜入経路。街の様子。人の様子。
そして戦闘について…

話し終えた頃のゾム様は目が揺らいでいた。
私は彼の手に手を重ねる。

ゾ「…!」

「申し訳ございません…。嫌なこと、話させてしまって」

ゾ「ちゃ、ちゃうよ。Aのせいやない…」

「ゾム様。
私はあなたの右腕です。
それは戦闘面だけじゃないんです。貴方という存在の右腕なんです。」

ゾ「…というと?」

「精神面でも支えさせてくださいよ…。
嫌なことがあったなら私にぶつけてください。
私は受け止めますよ?」

彼の揺らいでいた瞳からポタリと雫が落ちた。
やはり彼は我慢していた。
あの日の恐怖を。

ゾ「っ…なっさけな…。全部、乗り越えたと思っとんだやけどな…。」

涙を拭ってあげれば、そのまま彼は私に抱きついた。
頭を撫でてあげれば、肩にグリグリと頭を擦り付けられる。


「大丈夫です。大丈夫ですから…」

ゾ「…すまんっ。」




謝るのは私なんです。
傷ついているのを分かっていて、私は今抉るような真似をしたんです。
ごめんなさい。

これで私は…






動くことができます。

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雨々(プロフ) - 桜猫さん» なんと実はここで50話なんです (2019年5月10日 19時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - あ"あ"ーー!!夢主ちゃぁぁぁん!! (2019年5月10日 17時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 桜猫さん» わぁ!!いつも見てくれてありがとう!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 眼福だぁ~!♪ヽ(´▽`)/ (2019年5月7日 20時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 桜猫さん» いぇいいぇい! (2019年5月4日 10時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕凪 | 作成日時:2019年4月14日 2時

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