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Ep.32 ページ34

母「本当によかったの?」

「うん。話だけでも聞いてみたいと思ったから。」


この日、私の家に来客がある。
来訪者の名前はロズベルト・ターナー。
今回のお見合いの相手である。

メイドさんが私たちの前に紅茶を置いていく。
ありがとうと微笑む彼。
なるほど。
やや病的で、世間的な女性なら簡単に寄ってくるような好青年と言ったところか。

ロズ「お招きいただきありがとうございます。
ロズベルト・ターナーと申します。」

母「こちらこそ、御足労頂きありがとうございます。こちらが娘の…」

「Aでございます。
はじめまして。」

そう微笑むと、彼もふんわりと微笑んだ。
……胡散臭い。
これなら大先生の方が何倍もマシだ。

この部屋にいるのは私とゾム様、母と、メイドさんだ。
ロズベルトは訝しげにゾム様を見た。

ロズ「彼は…?」

「私の同盟国から来てくださった護衛の方でございます。」

ロズ「あぁ!先日変な輩に襲われたとか……。
物騒ですものね…。」

ゾム様も何かしらの違和感を感じているのだろう。
一切の隙を見せず、ロズベルトを観察しているようだ。

母「あら、ごめんなさい。少し席を外させていただきますわ。」

お二人でごゆっくり。
そう告げさって言った母。
気まずい沈黙が流れる。

先に沈黙を破ったのは彼だった。

ロズ「今回のお見合いの話、受けていただけて本当に嬉しいです。」

ゾム「…!?」

「…えぇ。貴方様の過去を聞いて…。
何かしらお力になれたら…と。」

ロズ「……妹のこと、まだ忘れられないんです。
あなたのような素敵な方が奥さんになってくれるなんて…。夢のようです。」


彼の異常なコケた頬。
異常な白さ。
彼は世間には「最愛の妹が亡くなったショックにより食事がまともに喉を通らなくなった」と話していた。

「っ…お気の毒です。私なんかが…力になれるか、不安で不安で…」

ロズ「そ、そんな…!あなたが泣くことはないんです。
そう思ってくださってるだけで…十分です。」

鬱先生、ありがとう。
以前潜入調査の時
『男はね、単純な生き物なんや。
目に涙をため、俯き、目線だけを相手に送る。
これだけでイチコロや。』と教えてくれた。

案の定は彼は慌て始めた。
意外に簡単にも心を開いてくれたようだ。

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雨々(プロフ) - 桜猫さん» なんと実はここで50話なんです (2019年5月10日 19時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - あ"あ"ーー!!夢主ちゃぁぁぁん!! (2019年5月10日 17時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 桜猫さん» わぁ!!いつも見てくれてありがとう!! (2019年5月7日 20時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
桜猫(プロフ) - 眼福だぁ~!♪ヽ(´▽`)/ (2019年5月7日 20時) (レス) id: b3a762d464 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 桜猫さん» いぇいいぇい! (2019年5月4日 10時) (レス) id: 67d442b3b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夕凪 | 作成日時:2019年4月14日 2時

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