６９ 昨日の今日で ページ34
翌朝。
大将は清々しく起きると、隣にいた乱を起こした。因みに俺も一緒に寝させて貰った。乱が折角なら薬研も、と言ってくれた為だ。
大将に笑顔が戻り、賑やかな朝餉の時間が始まる。勿論の事、刀剣達は思い思いに大将の無事を喜びながら、楽しく食事をした。
「大将！俺、大将が無事に目を覚ましてくれるって信じてた！！」
「おお、信濃。それは有難うな。心配かけて済まなかった」
「本当ですよ。小夜なんて貴方が目を覚まさなかったら、と思って昨日眠れなかったんですから」
「す、済まん小夜…宗三…」
「…まあ、少しは冗談ですけどね」宗三はそう言葉を零した。それ、大将は真に受けるから控えた方が良いと思うぞ。と思いつつ、俺は気にしない事にした。
昨日の事があったからか、刀剣達は大将の心配ばかりで、それ故に安心から話しかけるもんだから、大将もずっと話している。飯が少しも進んでいない。「大将、飯食う時間なんだから、話の合間にはしっかり食べてくれよ」俺はこっそりと、大将にそう言った。
「嗚呼。有難う薬研。…って、あれ？淤御国は？」
「え、淤御国…？」
ふと、刀剣達が大将の言葉で周囲を見回した。俺も淤御国の姿を捜す。見つからない。否、居ない。刀剣達と大将で本丸中を駆け回って捜したが、一向に見つからないのだ。
本丸から姿を消した。茉莉守淤御国が。
昨日の大将の件もあり、余計に焦り出す俺達。大将も顔を青ざめさせた。
そう言えば、大将と一度淤御国について話した他本丸の審神者の人間達も、淤御国が急に居なくなった、と言っていた時があった。もしかして、この本丸の、大将の淤御国も、同じ様に消えてしまったのだろうか。
なら、何故？一体何処へ？何の目的で？如何して？
─────大将か？
昨日、大将が体調を悪くしたから。大将が２回目の体調不良を引き起こしたから。
だから、淤御国は負い目を感じ、この本丸から去ってしまったのだろうか。
「…薬研」俺が考え込んでいると、いち兄が俺の肩に手を乗せた。後ろには鯰尾兄と骨喰兄も居る。「…如何した、いち兄」俺はそう問いた。
「…薬研も、茉莉守殿の失踪について、主が原因だと思っているのだろう？」
「…嗚呼。昨日の今日だ。そうとしか思えねぇ」
「実は、私達も同じ事を思っていてね。その…一寸来て貰ってもいいかい？」
いち兄が言うには、話したい事がある、だそうで。俺は少しばかり悩んだが、意を決して、いち兄の話を聞く事にした。
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