４４ 罪悪感と後悔と命 ページ4
「首落ちて死ね！」
「闇討ち、暗殺、お手の物！」
「ふー、終わったね」安定はそう言って、敵に刺さっていた本体を抜いた。淤御国は戦闘モードを終えており、落ち着いた様子だ。
拘薩羅井山に向かったは良いものの、矢張り、というべきか、時間遡行軍が現れた為、始末したのである。
淤御国の隣にいるのは薬研である。実は５人の間で、誰かが淤御国の側につき、何かあった時には対応しよう、と決めていたのだ。厳正で公平なるじゃんけんの結果、薬研がその立場となった。
清光が息を切らしつつ、全員に声をかける。「んじゃ終わった事だし、帰ろうか」
「まさか、また時間遡行軍が出るとはな」
「本当に酷いですね、この出現率」
「まだ実装されたばかりなのに、何で、こんな出現率高いんだろ……」
「そんな事言ってても仕方ないでしょ。今日の夜には主帰ってくるらしいし、俺たちも早めに帰ろ」清光がそう言って、淤御国の方を振り向いたその時────
(……大将、柄まで通したぞ)
────薬研が、淤御国を刺していた。海翔に言われた通り、柄まで。
「や、薬研……？」状況が飲み込めず立ち尽くす清光の隣を走って行ったのは、焦った顔の安定だった。和泉守は、薬研に怒鳴る。「お前っ！何やってんだ！」
「淤御国っ！淤御国ぃっ！大丈夫！？」
「淤御国！は、早く本丸の手入れ部屋へ！」
「薬研！何でこんな事！」
「…大将からの命だ」罪悪感が混ざりつつ答えた薬研は、頭を深く下げた。「済まなかった……。大将の命とは言え、仲間を刺すなんて……」
和泉守は大層御立腹である。「何で主がそんな命をする必要があるんだよ！答えてみろ！」今にも斬りかかりそうな和泉守を止めたのは、淤御国だった。
「……和泉守さん、問題無ぇ。俺は無事だ」
「……淤御、国……」
「薬研、その……取り敢えず本丸に帰ってからで良いから、詳しい事情を、聞かせてくれる？」
「嗚呼。判った」
これで良かったのか、大将……？薬研の心は、罪悪感と後悔と、海翔の命を、達成出来ているのかの心配が占めていた。それ程までに、海翔は重い命を薬研に命じた。
薬研は海翔を信じて、その命を遂行したのだ。
清光はそれに気付いた。薬研が事情があって行った事に。
安定と堀川は淤御国を支え、清光は思考を回し、薬研は考える。
そして和泉守は─────────
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