６５ 形の無いプレゼント ページ29
「さてさてあるじさんっ！次はボク達のプレゼント渡しだよ〜っ」
「おっ！プレゼントまで用意してくれたのか！？」
「勿論。俺たちの大好きな主だからね」
誕生日会も終盤に差し掛かり、刀剣達が海翔を囲む。海翔もわくわくしている様で、自然と笑みが溢れた。
「はいはーい。主、誕生日御目出度う。これ、僕たちで作った本丸アルバムだよ」大和守が、少し離れた所からプレゼントを持って来た。海翔は目をキラキラさせながら、安定からプレゼントを受け取る。「有難う皆！」
喜ぶ海翔を見て、刀剣達は少し気まずそうだ。先程までの笑顔は何処に行ったのかと、海翔は疑問に思った。
「？如何したお前ら」
「…えっとね、主さん。実はこのアルバム、淤御国の写真が一枚も無いんだ。一寸した事故で…そのページの紙が破れちゃって」
「……成程？」
「でもね、」清光が少しまた、嬉しそうな顔をした。その瞬間、清光の後ろから、ひょっこりと淤御国が現れた。余りに突然の事で、海翔は吃驚して大きな声をあげた。「うぉ！淤御国か！吃驚した〜」
清光が続けて話す。「淤御国、主と仲良くなりたいんだって」にこにこと表情を浮かべる清光と、優しげな笑みを浮かべる海翔を見て、淤御国は少し恥ずかしそうに、ぽつりぽつりと言葉を溢した。
「……僕、は、顕現、したて、だし、まだ、全然貴方の、御役に立てないと、思う、けれど……こん、な、僕でも良けれ、ば、これから、も、使って、くださ、い……」
淤御国はそれだけ言うと、また清光の後ろに隠れた。「ははっ。淤御国って恥ずかしがり屋だな」海翔はそう微笑んで、続けて言った。「淤御国、隠れないで、顔を出してくれないか？」
淤御国は恥ずかしいのか、中々出て来ようとしない。いつもならそのままでも大丈夫なのだろうが、空気を読んで、安定が優しく、淤御国を清光の後ろから出した。
海翔は優しい声色で、慈しむ様に話しかける。「淤御国、お前と出会ったのは少し前だが、何だかそうでも無い様な気がするんだ」
「俺は審神者で、お前や清光、安定達は刀剣男士という名の付喪神だ。そんな神様であるお前達が、一人間である俺の為に、こんな素敵な会を開いてくれた。そして、アルバムや楽しい催しもしてくれた。俺は…本当に幸せ者だ」
「あるじさん…」
「皆有難う。俺は大切な贈り物を貰ったよ。形に残る、思い出が詰まったアルバムと、今日俺だけの為に開いてくれた、形の無い、けど心に残る、大切な時間をな！」
追記 New！８月１５日→←６４ 誕生日会START！ NO side
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