43 審神者達の初期刀 ページ3
「淤御国は違う。アイツはただ単に、自身の呪いが主……つまり俺達に危害が加わる事を恐れているだけなんだ」
「……君はとても淤御国を愛してるんだね」
久治は穏やかな笑みを一瞬浮かべると、すぐに明るい顔に戻った。「とーこーろーでー!淤御国の事ぶっちゃけどう思う?特に女性陣!」
「はあ?恋愛感情なんて持ちませんけど」くれのが、やや半ギレ気味で久治を睨んだ。「イヤンコワーイ」
「馬鹿なんだろーなー」
「僕は別に、淤御国も他の刀剣も好きですけど」
「皆の初期刀って何!?俺はねー、陸奥守!」
「コーヒーをお持ちしました」久治が話を脱線させた時、店員がコーヒーを持って来た。海翔はそれを笑顔で受け取りつつ、全員の容姿をまじまじと見つめた。
「私は清光」優雅にコーヒーを飲むくれのは、淤御国の事を沖田組に関連づけているようだ。つまり、沖田組絡みの事件が、淤御国の今の状態にも関係ある、と踏んでいるらしい。
「あたしは歌仙」瞳はどことなく幼い雰囲気がある。恐らく歳は18というところだろう。持参の鞄は歌仙カラーで染められており、初期刀だけでなく、他の刀剣も大切にしている事が見て取れた。
「僕は山姥切ですかね。でも蜂須賀の煌びやかな服も好みで、迷っていた時期がありました」敬語で丁寧に話すハツメは、眼鏡を掛け知的なイメージを醸し出し、淤御国について調べた資料を机に置いていた。
久治はそれぞれの話を聞きながら頷いている。フレンドリーな印象で、海翔と似たタイプの、刀剣達に好かれている審神者だと伺えた。淤御国の事についても、真剣に考えている節がある。
海翔は少し控えめな声で言った。「俺は……乱」
「え!?何で!?」
「確か乱は初期刀に選べなかったよね?」
「何でか判らないが…物心ついた時には、乱が初期刀として側に居てくれてたんだ。俺、かなり幼い時から審神者やってたから……覚えてないんだと思うけど」
「そっかー。ま、雑談はこの辺にして、早速淤御国について話し合おうよ!」
「いやアンタが話脱線させたんでしょうが!」
くれのが久治に対し怒鳴った。「あの2人、幼馴染なんですって。で、淤御国に対しての考察をかなり行なっているらしくて」ハツメが小声で海翔に言った。
幼馴染か……。海翔は、昔仲の良かった友の事を思い出した。
しかし、頭の中に浮かぶ幼馴染の顔は、はっきりとは思い出せなかった。
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