５１ みんなみんな NO side ページ11
翌日。和泉守は堀川と、馬当番をしていた。いつになく様子がおかしい堀川を、和泉守は気にしていた。
朝餉の時間、淤御国は相も変わらず少食だった。淤御国の頬についたご飯粒を、安定は優しく拭き取った。
堀川と和泉守は、それを遠くから見ていた。珍しく淤御国の隣に居ない清光は、２振りに声をかける。「ねえ、大丈夫なの？」
「え、何が？」
「さっきから堀川も和泉守も、全然食事に手を付けれてないじゃん。流石に俺も心配するよ」
「心配いらないぜ！ただ淤御国が食べてくれてるから安心しただけだ。な、国広」
「うん。兼さん」
「ふーん。なら良いけど」
実の所、和泉守は、淤御国がまた二重刃格を発動しないか見ていただけだった。海翔は今日、小夜左文字と共に審神者部屋で朝食を食べているらしい。だから、いざ淤御国が二重刃格を発動した時に、すぐ止めに掛かれるようにする為だった。
でも、堀川はそうなのか判らない。懐かしむような、慈しむような瞳で、淤御国を見つめていた。
そんな堀川は、今日は一日中何故かボーッとしている。和泉守は、堀川の事を気にかけ、ついに声をかけた。
「おい、国広」
「どうしたの？兼さん」
「お前、今日一日ずっとボーッとしてんだろ。どうかしたのか？」
「え、あぁ、いや……」
「なんかあるなら言えよ」和泉守は堀川に近付き、優しい笑みを浮かべた。「オレたちは仲間だろ」
堀川は和泉守をじっと見つめると、そのうち笑顔になり、「うん！そうだね！」と、いつもの調子を取り戻した。
「実はね、兼さん」
「何だ？」
「淤御国の本当の名前が黄泉邑なら、淤御国はそれを知った時に、どんな思いをするかな……って。少なくとも、凄く悲しんで、辛い思いをするとは思うんだ。でもさ、まだ僕らが知らない事、淤御国は勿論知ってるんだから、僕らが想像するよりずっと、心に深い傷を負っちゃうんじゃないかな……」
「お前って本当仲間想いだな。オレだって、聞いただけで辛いんだ。淤御国が辛くない訳がない」
「だよね……」
「でもな、」
和泉守は言葉を続けた。「この本丸のみんな、主の刀なんだ。オレたちがそんな事で悄気る訳ねぇだろ？」
ニカッ、と笑む和泉守。堀川は何かが吹っ切れたような顔で、和泉守を見つめ返した。「そうだね兼さん！みんなみんな、あの主さんの刀だもんね！」
「おう！絶対淤御国は助けられる！そう思わねぇと、助けられないぜ、国広！」
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