23 淤御国戦闘モード 清光side ページ27
くっそ……!数が多過ぎる……!!
突如現れた時間遡行群を前に、何とか攻撃をする俺達。しかし、斬っても斬ってもキリがなく、減っていくのは己の体力のみ。顕現されて間もない淤御国は、立っているだけで辛そうだった。
「っ!!」
「淤御国っ!!」
淤御国の背後を狙った遡行群を、安定が間一髪で斬った。その後発した淤御国の一言が───
「……有難う。助かったぜ、大和守さん」
「……何回聞いても違和感あるな、その口調」
「淤御国が戦うところなんて、見たことなかったからな……まさか、口調が変わるとは」
そう。安定と同じように、淤御国も戦闘になると口調がガラリと変わったのだ。その為か、皆と戦うのに時間がかかるという予想は覆された。独走し、様々な敵を倒していく。
「ははっ」血飛沫を浴びる度、淤御国は乾いた笑いを戦場に響かせた。
「ねえ、清光……」
「俺達も淤御国が戦うところは見たことなかったからなあ……お前と同じようにキレるとは、思いにもよらなかった」
「うん、僕も同じ…あの淤御国のことだし、あれも、何か、理由があるのかな……」
「さーね。ほら、敵きてる」
安定と会話しながら、俺は近づく敵を斬る。一向に減らない敵の数に、少し憤りすら感じた。淤御国は顕現されたばかりだ。これ以上戦わせれば、折れてしまうかもしれない。
嫌だ。折角会えた淤御国なんだ。折れさせるものか。淤御国は、俺が護るんだ。あの人が淤御国を大切に想うように、俺だって、淤御国が大切なんだ。
「っ!!兼さん!遡行群が一向に減らないよ!」
「嗚呼国広!これは一体どういうことだろうなあ!」
「大丈夫か茉莉守!」
「大丈夫に決まってるだろ。久し振りの戦闘で、やる気が満ち満ちてるくらいだ!」
渓谷は足場が悪い為、俺達は離れながら戦い、声を出して安否を確認し合う。特に、淤御国への確認は誰もが欠かさない。
ふと、俺と安定が背中合わせにぶつかった。「ちょっと。邪魔しないでよ清光。刃が当たっても知らないよ?」「それはこっちの台詞」俺と安定は、互いにそう言いながら、流れるように敵を倒していった。
しかし。
「危ない!!」
「2振りとも!!」
「お前ら!避けろ!!」
仲間達の声で、俺達は頭上に刃があるのに気づいた。死角から時間遡行群が襲ってきたのだ。避けれない。目を瞑ったその時───
「呪いを授けてやるよ!!」
,
38人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ