１６ 初出陣 堀川side ページ20
主さんに呼ばれ、刀剣達は全員、朝餉を食べる大広間より更に大きい大広間へと集まった。
淤御国のことが気になって仕方なく、僕は何度も淤御国の居る方をちらちらと見てしまう。因みに、淤御国はあの２人が高速で見つけて連れてきてくれた。
やっと会えたのに、あの頃の淤御国の元気さはどこに行ったのか、そこに居たのは心を閉ざしたような淤御国だけ。
あまりに悲しくて、実はあの後、僕は兼さんに泣きついてしまった。
『…兼さん、兼さあああん…』
『国広落ち着け。確かに淤御国は変わってしまっているが、淤御国であることに変わりはないんだ』
『でも、でもぉ…っ！！』
『その内また仲良くなれるさ。国広のこと、ちゃんと覚えててくれていただろう？』
『…うん、そうだよね…！有難う、兼さん……』
やっぱり兼さん格好いいね最高だね。
そんなことを思っていると、主さんがこほんと咳払いをして話し出した。
「あー…今日の予定を説明するぞ。まず内番からな。馬当番は、石切丸と光忠。畑当番は、蜂須賀と虎徹。手合せは愛染と蛍丸な」
「「「「「はーい」」」」」
「次に遠征だが、今日は遠征は無しだ。最近、ずっと遠征続きだったし。で出陣だが、」
そこまで言って、一度主さんは言葉を紡ぐのを止めた。どうかしたのだろうか。暫く経って、漸く主さんは話を再開した。
「……正直、俺も迷ったは迷ったのだが、まあ、恨みっこ無しで許してくれよ」
「「「「「？」」」」」
「今回出陣するメンバーは薬研藤四郎、大和守安定、加州清光、堀川国広、茉莉守淤御国、隊長は、和泉守兼定だ」
「！淤御国も…！？」
「嗚呼。練度を上げるのと、仲間との交流を深めるのが目的だ。場所は…えっと、
「どこなんだ？聞いたことないぞ？」
「淤御国実装の際に追加されたらしい。他にも幾つかあるから、当面は追加された場所に集中的に出陣していくぞ。何か質問のあるやつはいるか？」
「はーい」鯰尾くんが手を挙げた。「どうして淤御国さんが実装されたからって、場所まで追加されたんでしょうか？」
「お上のことなんて判らねえけど……淤御国の事、気遣ってくれてんだろ」
気遣い……？それって本当に気遣いなのかな…？
刀剣達だって、思い出の場所に行きたい気持ちも行きたくない気持ちもある。池田屋とか。
淤御国は、思い出の場所に行って本当に嬉しいのかな……？
１７ 霧耀渓谷 薬研side→←１５ 大人だから 一期side
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
